怪物ルーキーも、苦悩していた-。26日にリーグ最終戦を終えた阪神佐藤輝明内野手(22)が、プロ1年目のレギュラーシーズンを振り返り、心境を激白した。首位快走に貢献した前半戦は「50点」と自己評価した一方で、不振に苦しみ2軍降格も経験した後半戦は「0点」。眠れぬ夜があったことも明かした。手応えも悔しさ、ここまでの経験すべてをポストシーズンにぶつける。

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プロ1年目は、激動のレギュラーシーズンだった。佐藤輝は率直な心境で振り返った。

「いい時もあれば悪い時もあって、すごく中身の濃い1年間だったんじゃないかと思います」

126試合に出場し、新人歴代7位の24本塁打を記録した。425打数101安打64打点、打率2割3分8厘。プロ1年目の自己採点は…。

「50点ぐらいですかね。前半はある程度、チームに貢献できたかなというのはあるので。その50点です」

前半戦は20本塁打を量産し、首位を走るチームの原動力に。一方、不振にあえいだ後半戦は「0点」の評価。自らに厳しかった。

「ファームに落ちた日とかは、しばらく眠れなかった。その時はすごく不思議な気持ちというか、残念な気持ちと、これからファームで結果残すぞという2つの気持ちが入り交じっていました」

NPB野手ワーストの59打席連続無安打と苦しみ、9月上旬には初の2軍降格も経験。「寝ればすぐ切り替えることができるのが自分の良さ」と話す大物ルーキーにも、実は眠れぬ夜があった。

「もちろん後半とかは苦しい時期はありましたけど、そういうのもあるので、やっぱり打った時は余計にうれしくて、野球はおもしろいなと思えると思う。苦しい時期も腐らずに頑張ることが大事なんじゃないかなと思いました」

逃げずに自分と向き合い、24日広島戦では約2カ月ぶりの24号をマーク。復活の兆しを見せた。歓喜も苦難も経験し、さらなる飛躍を誓う。

「満足はしていないです。もっとできると思っているので」

今後は小野寺、伊藤将、ガンケルらとともに、みやざきフェニックス・リーグに参加する見込み。貪欲に経験を積み、まずは今年のポストシーズンで大暴れする。【磯綾乃】

<佐藤輝記録アラカルト>

◆オープン戦キング 6本塁打は12球団最多。ドラフト新人のオープン戦本塁打王は史上初。「そういう数字を残せたことは自信にはなりました」。

◆開幕スタメン(3月26日ヤクルト戦)6番右翼で先発出場。阪神新人の開幕戦スタメンは2リーグ分立後10人目。初打席で犠飛を記録。3打数無安打1打点のデビュー戦に「結果は出なかったんですけど、1試合1試合切り替えて、明日(27日)はいい日になるようにしっかり準備したいと思います」と前を向いた

◆球団最速1号(同27日ヤクルト戦)初本塁打は1回に2ラン。チーム開幕2試合目は1リーグ時代含め球団新人最速タイ。「打った瞬間にいったと思いました」と手ごたえを語った。

◆4番で満弾(5月2日広島戦)新人では球団6人目の4番で先発し、5回に初の満塁本塁打。4番初試合のグランドスラムはプロ野球新人初の偉業。「最高の結果を出すことができて良かった」

◆1試合3発(5月28日西武戦)2、6、9回に本塁打。新人では58年長嶋茂雄(巨人)以来球界4人目で、阪神新人では初で「チームが勝ったので、それがうれしいです」と大満足。

◆20号の大台(7月7日ヤクルト戦)新人左打者としては、46年大下弘(セネタース)と並び最多に。

◆球宴でアーチ(7月17日オールスター第2戦)2回にオリックス宮城から左越えへアーチをかけた。「本塁打を狙ってスイングしたんで、すごく気持ち良かった」と笑った。

◆球団新人最多23号(8月19日DeNA戦)69年田淵22本を超え、球団新人最多記録を樹立。「自分のスイングをしてきた結果なんで、すごくうれしいです」。

◆初の2軍落ち(9月10日)35打席ノーヒットが続き、出場選手登録抹消。「成長するチャンスだと思って、しっかり取り組みたい」と2軍で汗を流した。

◆59打席連続無安打(8月22日中日戦~10月3日中日戦)9月23日に1軍復帰も不振は続き、NPB野手ワーストの59打席連続ノーヒットの記録を更新。

◆阪神最多三振(10月17日広島戦)球団新記録となるシーズン167個目の三振を喫した。14年ゴメス166三振を抜いた。

◆173三振で閉幕(10月26日中日戦)シーズン最終戦は7番右翼でフル出場も3打数無安打2三振。三振は173に伸びた。