広島九里亜蓮投手(30)が粘りに粘ってリーグトップ13勝目を手にした。11月1日、ヤクルトとのシーズン最終戦での登板予定はなく、阪神青柳とともに自身初タイトルとなる最多勝獲得を決めた。

1回から32球を要する立ち上がり。1死満塁を無失点に抑えると、2回は1死満塁から犠飛で失点。それでも2死満塁のピンチは切り抜けた。「本当に野手のみなさんのおかげで粘り強くいけたのかなと思います」。4回まで毎回得点圏に走者を背負う苦しい投球が続いても、追加点を許さなかった。味方打線が逆転した後の5回はこの日唯一の3者凡退。5回99球、5安打5四死球を許しながらも、1失点にまとめた。

6日から3度中5日で登板し、この日は前回137球を投じた24日阪神戦から中4日での登板だった。「なんとか自分の投球を表現してと思ってマウンドには上がったんですけど、本当にリズムもテンポも悪かった」。本調子からはほど遠かった。それでも野手の援護にも支えられ、苦しみながら、粘り抜いた末に喜びが待っていた。

タイトル獲得へ登板間隔を縮めるなどバックアップしてきた佐々岡監督はつかみ取った右腕をたたえた。「丁寧に投げようとして球数が多くなりましたけど、中4日できましたし、勝ちたいという気持ちからそういう投球になったと思います。そこで粘り強く投げたし、勝ったことが本人にとっては大きい。中4日でよく投げたと思います」。今季本拠地最終戦勝利に導いた1勝が、九里の野球人生において大きな価値のある1勝となった。【前原淳】