オリックス吉田正尚外野手(28)による日刊スポーツ独占コラム「頂に駆ける」の第4回が日本シリーズ直前に届いた。9月は全治6週間の左太もも裏負傷から約3週間で復活。さらに10月2日の右手首骨折からは1カ月強、CSファイナルステージ初戦の11月10日に戦列復帰した。完治せずとも「鉄人魂」で中軸を担い、相手に脅威を与える選手会長が、リハビリについて、そして日本一への思いをつづった。【構成=真柴健】

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日刊スポーツ読者の皆さん、オリックスの吉田正尚です。いつも温かい応援ありがとうございます。25年ぶり優勝に、CS突破。いよいよ日本シリーズですね。ここまできたので、勝って日本一になりたいなという気持ちでいっぱいです。

1、2戦目が京セラドーム大阪で、6、7戦目はほっともっと神戸。不思議な感覚もありますけど、大阪、神戸のファン、日本全国のオリックスファンの前で日本一の胴上げをして、今年を終えたいですね。

今季は全試合出場とはならず、心配をおかけしました。元気な姿で毎試合出ることが僕の仕事。できることならケガせず、プロ野球選手としての仕事をしないといけない。自分なりにプレーできる範囲で、1日でも早い復活を目指してきました。復帰を諦めた瞬間、リハビリはメンタル面が落ちますから。何事も前向きに、ですね。僕はプロ1、2年目に腰をケガした経験があります。リハビリ中は落ち込んでも仕方ない。試合をイメージしながら、次のステップを考えてます。

9月序盤に足を痛めて、3週間で試合に戻れました。その後にソフトバンク戦の死球もありましたね…。当たった瞬間に折れたという感覚は、正直なかったです。病院で検査して、そこで初めて骨折と。骨に直接当たってしまったのが残念。あの打席はポイントを前に出して、普段と違う待ち方をしてしまったんです。よけられたかなと思うので、そこは後悔もあります。反省です。よけるのも技術ですからね。

大関投手からは、柳田さんを通じて連絡を頂きました。すみませんでした、と。「全然大丈夫だよ。また対戦を楽しみにしているね」と伝えました。こればかりは勝負事なのでね。CSに、なんとか戻って来られた。肉離れのときは酸素カプセルに入って、骨折のときは8時間睡眠を。まだ完治とは言えないですけど、妻にも感謝です。料理を食べる回数も、子どもとの時間も増えました。家にいる時間を大切にしながら「活躍して家に帰りたい」という感情が生まれましたね。日本シリーズでも、良いパフォーマンスで日本一に貢献できたらなと。みんなを喜ばせたいですよね。

相手のヤクルトには東京五輪で一緒に戦った山田さん、村上くん、アメリカ代表だったマクガフがいます。お互い良いプレーをして、野球ファン全員に喜んでもらいたいです。つば九郎? オリックス相手に面白いネタ用意してますかね? 楽しみにしています。(オリックス・バファローズ外野手)

◆吉田正の今季けがと復帰

左太もも裏筋損傷 9月3日ソフトバンク戦の9回に遊撃への当たりで全力疾走で内野安打とした際に負傷。翌4日は患部にテープを巻いて代打出場したが、1球も振らずに見逃し三振。苦笑いで球場を後にした。5日に出場選手登録を抹消され、連続試合出場は512でストップ。

超人的な回復 9月26日楽天戦で1軍復帰し、代打出場。主砲の復帰後チームは5勝1分けで首位を奪回。この勢いでVロードを突っ走ると思われたが、再び悪夢に襲われた。

右尺骨骨折 10月2日ソフトバンク戦で大関から右手首付近に死球を受け、右尺骨骨折。ペナントレースでの復帰が絶望となった。

完治せぬまま 両手首にサポーターを装着した状態でCSファイナルステージ初戦の10日ロッテ戦に「3番DH」で出場。日本シリーズで守備に就く意欲をみせた。