17年ぶりリーグ制覇へ、補強第1弾!阪神がドジャース3AからFAとなったアーロン・ウィルカーソン投手(32)と契約合意したことが1日、分かった。

今季マイナーで8勝を挙げた先発右腕は右肘のトミー・ジョン手術後に一時は野球を離れた苦労人。タテジマのユニホームに袖を通し、大きなジャパニーズドリームをつかむ。

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背水の4年目シーズンに挑む矢野阪神に、タフな苦労人が加わる。来季の補強第1弾として、先発右腕ウィルカーソンの獲得が決定。嶌村聡球団本部長(54)が「契約合意しました。来年、うちのユニホームを着てプレーします。非常に安定した先発タイプ」と明らかにした。

19年まで3シーズンでメジャーを経験したが、勝ち星は1勝だけ。だがマイナーでは通算55勝を記録している。制球力があり、日本向きだ。オーバーハンドから左打者へのチェンジアップ、右打者へはスライダー、カーブで勝負する。同球団本部長は「いろんな球種を投げ、制球が非常にいい。真っすぐが球速以上に体感(速度)がある。3Aでの空振り率も高い」と語る。直球は145キロ前後だが、ベース板上での力強さを評価する。

派手さはないが、メンタルの強さがある。カンバーランド大時代は記録男として輝いていた。11年に54イニング連続無失点や26連勝をマークし、所属するNAIAリーグの記録をつくった。だが、故障し同年8月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、メジャーからのドラフト指名はなかった。現地のサイトによると、野球を離れ大手食品会社の冷凍食品の倉庫で働いていた。5カ月間夜勤し、昇進の話もあるほど勤勉に働いたが、再び野球の道へ。13年に独立リーグに入り4度の移籍を重ねながら、14年にレッドソックス傘下へ。ブルワーズ2年目の17年に念願のメジャーデビューし、初勝利も挙げた。

今年は台湾プロ野球楽天と契約していたが、家庭の事情で台湾には行かず3月に契約解除。ドジャース3Aで23試合に登板し8勝5敗、防御率3・86の安定した数字を残した。

阪神は前日11月30日に守護神スアレスの退団を発表し、チームに激震が走った。来季も助っ人8人体制を継続する方針で、再構築に動いている。ウィルカーソン獲得はその第1弾で、先発陣を強化。新守護神候補として、パイレーツのカイル・ケラー投手(28)をリストアップ。サンズに代わる野手も補強する予定だ。【石橋隆雄】

◆アーロン・ウィルカーソン 1989年5月24日、米テキサス州生まれ。独立リーグから14年にレッドソックスと契約。16年ブルワーズ移籍、17年初昇格。昨オフに台湾・楽天と契約するも家族の事情により渡航できず今年3月に契約解除。その後ドジャース傘下3Aでプレーし23試合(先発19)で8勝5敗、防御率3・86。メジャー通算14試合(先発3)で1勝1敗、防御率6・88。188センチ、104キロ。右投げ右打ち。