新シーズンのブレークを期待させる84球だった。21年シーズン最終戦となったヤクルト戦先発は、高卒1年目の小林樹斗(18)だった。4回途中降板も、2年目の飛躍を予感させた。

【22年注目選手】連載まとめ

立ち上がりから152キロを計測し、3番山田は直球系で追い込んでからスプリットで空振り三振を奪った。2回は村上に対し、真っすぐで空を切らせるなど、2回まで4三振。日本一となる燕打線の中軸に真っ向勝負を挑んだ。3回以降は1年目の甘さにより失点を重ねたものの、1軍レベルを肌で感じたことで意識も変わる。「結果的に6失点してしまったのでいいとは言えませんが、いい部分と悪い部分が出たので、来年にしっかりいかしていきたい」。練習への取り組みにも変化が生まれた

広島の先発陣は大瀬良、森下、九里の3本柱に、床田をはじめとした左腕投手が続く。簡単に割って入れる陣容ではない。ただ、争えるだけのポテンシャルは証明した。球団では前田(ツインズ)や中崎ら2年目にブレークする投手が多い。来年1月に19歳となる右腕にも、期待せずにはいられない。【広島担当=前原淳】

◆小林樹斗(こばやし・たつと)2003年(平15)1月16日、和歌山県生まれ。中学時代は軟式野球部。智弁和歌山では2年夏に甲子園出場。3回戦の星稜戦で奥川(現ヤクルト)と投げ合った。20年ドラフト4位で広島入団。182センチ、86キロ。右投げ右打ち。