“伝統の一線”を越えちゃった!? 阪神藤浪晋太郎投手(27)が11日、巨人菅野らとの沖縄・宮古島、伊良部島合同自主トレを公開し、リモート取材に応じた。年明けから「菅野塾」に初参加し、早くも軸足の使い方について金言を授かったという。宿敵同士の垣根を越えた助言に感謝。開幕ローテ奪取、そして目標に掲げた7年ぶりの2ケタ星&170回到達へ、まずは土台を固めにかかる。

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南国の日差しとの再会に浸っている暇などなかった。合同トレ合流初日、藤浪は巨人の至宝から早速アドバイスを受け取った。

「投球動作の中で軸足の右足がつぶれてしまうような動作が強い。軸足がうまく使える投手はボールを扱うのも上手」-。

大先輩菅野からの言葉に後輩は感謝。「そこまで(軸足を)強く意識することはなかった。新しい視点でフォームを見られている。勉強になることが多い」。現在はキャッチボールから修正点を右足に染みこませている最中だという。

初めて開幕投手に抜てきされた昨季は3勝どまり。先発、中継ぎともにチャンスを生かせなかった。背水の10年目は「完全に自分のエゴで」と先発復帰を熱望。知人から「菅野塾」の情報を耳にすると、12年ドラフト1位同期入団の大エースに迷わず頭を下げた。

「日本でトップクラス、1番と言っていいほど再現性が高い、安定感のあるスタイル。そういうところが自分に一番欠けていると思ったのでお願いしました」

覚悟を決めての「初入塾」は16日までの2週間弱。菅野が「1日に何回も質問をしてくれる」と驚くほどの熱意で、復活の足がかりをつかみにかかっている。

昨季は48回1/3で44四死球。課題の制球難克服へ、軸足の安定が貴重なヒントとなる可能性は十分にある。「いい感じでキャッチボールをできていますし、すごく(投球の)ラインが出る気がしている。ブルペンに入るのが楽しみ」。現時点で手応えは上々だ。

もちろん、立場は自覚している。22年も1軍キャンプ発進が濃厚だが、まずは激しい先発5、6番手争いを勝ち抜く必要がある。

「勝負の年だと思います。先発を奪い取って勝ち取らないといけない年。数字も大事ですし、『藤浪を使いたいな』と思ってもらえるようなボールを投げられるようにしたい。自分の売りはタフネス、スタミナ。2ケタと、イニングはしっかり投げたい。(年間)160回、170回と投げられるようにしたい」

開幕ローテ奪取、そして15年以来の2ケタ勝利へ。“伝統の一線”を越えた金言を、必ず結果につなげる。【佐井陽介】

○…菅野は久々の「12年ドラ1対決」を優しく待ちわびた。近年の藤浪について「メンタルだったり、技術的な部分も両方あると思うんですけど、僕は全然なんとかなると思っていました」と振り返り、初の合同トレに「お互い高め合って良い関係性の中でできている」と納得。投げ合いは18年4月20日を最後に遠ざかっており「ファンの方が待ち望むような戦いができれば。とりあえず頭には当てんなよとは言っておきました」と冗談交じりで再戦を楽しみにした。

◆2桁勝利&170イニング 阪神では西勇が19年に10勝し、172イニング1/3を投げたのが直近。生え抜きに限ると、藤浪自身の14勝&199イニングが最後。なお昨季の12球団では3人で、柳(中日)11勝&172イニング、山本(オリックス)18勝&193イニング2/3、高橋(西武)11勝&173イニング2/3。