ゼロ旅はどこまで!? 17イニング、打者52人連続アウトと、世界記録を更新中のロッテ佐々木朗希投手(20)は次回、24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に先発予定だ。10日に13者連続奪三振での完全試合を達成したオリックス打線に2週間後、再び投げ込む。大記録はどこまで伸びるのか-。逆に止めるのは誰なのか-。ロッテ、オリックスの両担当記者が、これまでの取材から5日後の一戦を占った。

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朗希無双が続く。安打を打つ-。この1点だけに絞れば、すでに多くの選手が3打席を経験したオリックス勢にはチャンスが増える。一方、佐々木朗は17日の試合後「投手の仕事は点を取られないことだと思うので。僕の中では打たれても別に、って思っています」と言った。試合に勝つために、今度は何を変えてくるか。

1つの可能性がスライダーだ。今季4試合を終え、投球の約93%が直球かフォーク。同じように無双した大船渡高時代とは、傾向が違う。当時は、スライダーが変化球の中で6割強を占めた。バッテリーを組んだ及川恵介捕手(東北学院大3年)は「スライダーとフォークが8対2か7対3くらいでした」と振り返る。

それがプロ3年目の今季はフォーク8、スライダー2の比率になった。球速帯はともに140キロ強。今の佐々木朗にとってスライダーは「本当はもっと大きく曲がってくれれば」という球だ。フォークが制球、キレともに安定する中で、相棒の捕手松川も「フォークも真ッスラというか、こっち系に落ちていくので、利用しながら」と右打者の外角へ逃げるような軌道を描くフォークを活用する。その魔球とは微妙に違う軌道のスライダーは、1つの手札になりうる。

大きく変えなくても圧倒してしまうのでは? そう感じさせる投手でもある。今季4試合で投じた160キロ台の直球は117球。旧来の物差しでは思考が混乱しそうな事象を、具現化させている。いくら何でもさすがにそろそろ…。そんな空気さえ一掃する予感を漂わせることもまた、伝説だ。【ロッテ担当=金子真仁】

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リベンジの機会は望むところだ。オリックスは10日の敵地ロッテ戦で佐々木朗希投手に球団史上初の完全試合を食らった。

20歳の右腕に完敗-。だが2週間後の再戦で、相手は完全イニングを17に伸ばしてやってくる。男の意地にかけて、止めるのはオリたちしかいない。

2年連続首位打者の吉田正は3三振。試合前までの三振はわずか1だった。「完全に相手が上だった。(軌道と)接点がなかった。フォーク待ちで振りにいっても、ストーンと消えるので、バットが出なかった」。球界屈指のヒットマンは投球映像をチェック。徹底研究で雪辱を期している。

リードオフマンの福田も頼もしい。3三振を喫した直後も「正直、楽しさがあった。この投球をされたら仕方ない」とさっぱり切り替え。「一番良い(状態の)ときを見たんじゃないですか? 次の対戦に生かせるように。球筋を見たのでイメージできています」とポジティブで、同じ轍(てつ)を踏むつもりはない。

決戦の舞台は京セラドーム大阪に移る。ファンの後押しも大きい。理想の攻撃は、初回に1番福田が連続無安打を17イニングで止め、好機を広げて主軸の吉田正が0行進も止める先制打を放つ。先制パンチで快挙全てを止め、オリックスペースに持ち込むことだ。

10日の対戦で連続三振を13で止めた“ラスボス”紅林にも注目だ。当日は「バケモン。手からボールが離れる前に振るイメージ」と仰天したが、同い年の対佐々木朗は昨季5打数2安打で打率4割。攻略に欠かせない存在だ。中嶋監督は完全試合をされても「認めてしまったら先に進めない」と強気だった。オリたちが倍返しで白星をつかむ。【オリックス担当=真柴健】