阪神先発のアーロン・ウィルカーソン投手(32)が、1球に泣いた。来日2度目の登板は6回1/3を3安打1失点。打線の援護に恵まれず、0-0の4回先頭、青木に浴びたソロアーチが決勝点となった。「あのカウントで、真っすぐ高めを工夫をせず投げてしまった。簡単にストライクを取りにいってしまったので、その結果かなと思います」。3ボール1ストライクからの不用意さを悔やんだ。

【ニッカン式スコア】23日のヤクルト-阪神戦詳細スコア

青木には捉えられたが、140キロ台中盤の直球には威力があった。7奪三振のうち6つは、決め球が真っすぐ。「自分はそこまで速い球を投げられるわけではない」という自己評価とは裏腹に空振りが取れる。2軍でバッテリーを組んだ栄枝や安藤2軍投手コーチは「腕が遅れて出てくるから、タイミングが取りにくい」と分析。左足を着地させてからリリースまで、コンマ数秒の「間」が打者にとっては厄介なようだ。

「阪神タイガースで戦える選手になれたかなと思います。チームメートも、チーム自体も素晴らしい。自分の力を出し切っていい状態をキープして、チームのために頑張っていきたい」

阪神助っ人では08年アッチソン以来のデビュー2戦2勝はならず初黒星を喫したが、信頼は増す一方だ。矢野監督は「いろんなバリエーションのアウトの取り方ができる。対戦したからといって(相手にとって)簡単、という感じには思わないよね」と今後もローテーションの一角でフル回転することを期待。試合後、ベンチからバスへの帰り道では客席から拍手が降り注がれた。ファンの思いも指揮官と同じだ。【中野椋】