阪神が痛恨のサヨナラ負けを喫した。1点リードの9回に守護神の岩崎優投手(30)がリードを守れず、サヨナラ犠飛を許し、今季初黒星となった。3月25日の開幕戦で最大7点差をひっくり返された相手に、またも勝ちきれなかった。ヤクルト、巨人との正念場の6連戦で初戦を落とし、早ければ19日にも自力優勝の可能性が消滅する。

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歓喜に沸く神宮で、岩崎はうつむきながらマウンドを降りた。今季5度目のサヨナラ負けだが、守護神で落とすのは初めて。「もちろん結果はね…」。矢野監督は痛恨の敗戦を受け入れるしかなかった。首位ヤクルト、巨人との上位6連戦は崖っぷちの虎にとって、まさに正念場の戦い。その初戦を落とし、19日にも自力優勝の可能性が消滅する事態となった。

1点リードの9回。岩崎は先頭の3番山田にストレートの四球を与え、嫌な予感が漂った。4番村上に左翼フェンスギリギリまで運ばれる左飛。中村の中前打で1死一、三塁。青木に右中間へ同点適時二塁打、オスナにサヨナラ右犠飛と傾いた流れを止めることができなかった。指揮官は「あとから見れば原因はあるけど。3番からなんで、丁寧にいくって気持ちの中で、そういうふうになってしまうことも、もちろん優(岩崎)でもあるし」と振り返った。岩崎にとっては、13試合ぶりの失点。最大7点差をひっくり返された悪夢の開幕戦、3月25日ヤクルト戦以来だ。今季初黒星に、試合後は捕手坂本がマスクをかぶったまま、藤井彰バッテリーコーチと話し込んでいた。

3連勝へあと1歩のところでの逆転負け。投手陣は19試合連続3失点以下と踏ん張っているが、2試合連続2桁安打だった打線がわずか4安打、糸原のソロだけ。6回以降は無安打と援護できなかった。矢野監督は「やっぱりもうちょっとね。輝のところで(チャンスが)まわってきたけど、そこで1本でれば」と嘆いた。4回無死一、二塁で佐藤輝が初球スライダーをひっかけ二ゴロ併殺に倒れた場面を悔やんだ。早くも自力優勝の可能性がなくなるのか。「全体の調子を上げてもらうのが今は大事」と指揮官は言うが、待ったなしで厳しい現実が迫ろうとしている。【石橋隆雄】

 

○…大山は本職ではない左翼で好送球を決めた。2回無死一塁、5番中村の左中間寄りの安打にチャージ。スタートを切っていた一塁走者村上が一気に三塁を狙う中、ワンバウンドのストライク返球で刺した。矢野監督も「流れの中で嫌なところもあったけど、野手もアウトにしてくれたり、悠輔の送球とか、そういうものもあった」と評価。地道な守備練習の成果を出した。

○…渡辺は「村上キラー」を襲名する勢いだ。1点リードの7回無死、4番村上へのワンポイントで登板。フルカウントから外角低めの132キロ直球で空振り三振に仕留め、激しくガッツポーズした。村上とは今季4度の対戦で空振り三振3つと1四球。「しっかり自分の投球をすることができた。これからも自分が求められている役割をしっかりまっとうできるように準備していきたい」と気合十分だ。

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