日本ハムが劇的すぎる逆転劇で、「日本生命セ・パ交流戦」の今季初勝利を挙げた。2点を追う9回に万波中正外野手(22)が放った8号ソロが勝利への号砲となり、延長10回に再び万波の適時二塁打などで4点を勝ち越した。最後は2夜連続サヨナラ被弾のルーキー北山亘基投手(23)が、全球ストレート勝負で試合を締めて悪夢を振り払った。土壇場でチームの意地が爆発したドラマチック勝利。新庄剛志監督(50)にとっても交流戦初白星となった。

    ◇    ◇    ◇

試合後の新庄監督の第一声が、全てを物語っていた。「明日、ちょっと心臓のクリニックに行ってきます(笑い)。この3試合、野球好きの、世界中の野球ファンに見せたいくらいの試合でしたね。いやぁ今日、ガッツポーズしすぎて肩痛いです。ヤバっ!」。

ハラハラドキドキのBIGBOSS野球が土壇場で底力を発揮した。交流戦3連敗スタートが近づいていた9回。先頭打者の万波が逆転劇の口火を切った。「このまま3連戦やられたくなかった。『ファイターズは諦めていないし、悪くもないぞ』と先頭で見せたいと思った。その気持ちだけ」。熱い魂を乗せた打球は左中間スタンドへ届き、チームメートにも伝わった。続くアルカンタラも右翼席へ同点8号ソロを運んだ。

延長10回は相手のミスで勝ち越し、なおも1死三塁の場面で再び万波。打席へ向かう前にブルペンを見ていた。「北山さんが肩をつくっていたのが見えていた。3連投いくんだと思って、何とか1点でも多くと。その気持ちですね」。今度は左翼線への適時二塁打で貴重な追加点をもたらした。

4点リードとなった延長10回裏。新庄監督はマウンドへ向かう北山を呼び止めた。「こんだけのファンのみんなが、遅くまで残ってくれて見ているから(この試練を)越えていけ」。2夜連続でサヨナラ弾を浴びていた守護神は「このマウンドで逃げるような投球をしていたら何の成長にもならない」と、23球全て直球だけを投じた。1点こそ失ったが、リードを守りきり、指揮官の期待に応えた。

昨季の日本一チームで今季もセ首位のヤクルト相手に、3連戦全てが劇的な熱戦だった。新庄監督は「こういう経験をヤクルトさんはずっとしてきて勝ち抜いてきた。そのチームに対して、いい戦いができたっていうのは選手たちに、すごいプラスになる」。1勝2敗と負け越したが、それ以上に大きな収穫を得た3連戦になった。【木下大輔】

【関連記事】日本ハムニュース一覧>>