早慶戦の始球式に、慶大のユニホームで背番号17の国久想仁さん(13)が登場した。

大きな弧を描いたボールはノーバウンドで捕手に届き、マウンド上で笑顔でガッツポーズ。ストライク投球に、三塁側の慶大ベンチからも歓声が湧き上がった。選手たちが作った花道を通って、ベンチへ下がった。「とてもうれしい気持ちでいっぱいです。選手が盛り上げてくれて、いいボールが投げられました」と笑顔で話した。

神奈川県在住の国久さんは軟骨無形成症(軟骨に異常がある骨の病気)を持ち、「NPO法人 Being ALIVE Japan」を通じて慶大野球部に入り、この日のために練習を重ねてきた。

将来に向けては「勉強を頑張って(慶大の)野球部に戻ってきたい。医療に関わる仕事をして、困っている人を助けたいです」と目標を語った。

慶大は見事に逆転勝利。下山悠介主将(4年=慶応)は「素晴らしかった。緊張したと思うけど、最高の舞台でのストライク。感動しました」。萩尾匡也(まさや)外野手(4年=文徳)は「普段の練習も見ていて、本番に強いところを見せてくれた。勇気をもらった。チームにいい流れを持ってきてくれました」と感謝していた。