日本ハム新庄剛志監督(50)がプロ野球の活性化へ、レンタル・トレードを提案した。エースの名前を挙げて「上沢くんと菅野くん(巨人)が代わってね。何勝かずつしたら戻る、みたいな。それくらいのチームになってもいいですよ、ウチは。4対4くらいで1カ月半とか」とビッグボス節全開。「めちゃくちゃ面白いと思う。プロ野球を盛り上げるためにね」と笑った。

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サッカーでは当たり前に行われるレンタル移籍だが、プロ野球でも、たびたび話題には挙がってきた。04、05年ごろにはレンタルによる海外移籍を、西武堤オーナー、ソフトバンク孫オーナー、阪神星野SDといった球界のキーパーソンが言及。プロ野球選手会でも話し合われた。興味深いのは、創設1年目(05年)の楽天。球団ができた経緯からも戦力が劣っており、レンタル移籍導入に積極的だった。同年オフの実行委員会で、レンタル移籍制度構築の責任者に就いている。

それでも結局、レンタル移籍は導入されないまま。12球団で一から新たなルールをつくるハードルが、いかに高いかを物語っている。一例として、出場機会に恵まれない選手を移籍させ合う「現役ドラフト」がある。ようやく今オフの導入が見えてきたが、実効性は不透明。だから、レンタル移籍も無意味と言いたいわけではない。まずは趣旨に賛同する球団を増やしていくしかない。

貸した選手が活躍し、優勝をさらわれるのではという心理的抵抗もあるかも知れない。また、文化的な背景になるが、サッカーと異なり、プロ野球は移籍がネガティブに捉えられる傾向が、まだ残っている。「生え抜き」が価値ある言葉として使われることの裏返しだ。ひいきのチームとは別に、選手個々のパフォーマンスを応援する。そんなファンがさらに増えれば、レンタル移籍も現実味を帯びていくのではないか。【NPB担当=古川真弥】