ロッテ佐々木朗希投手(20)が、およそ2カ月ぶりに白星を手にした。

6回まで投げ、楽天打線に3本塁打を含む5安打5失点と打ち込まれた。だが、松川虎生捕手(18)が3-4の6回2死満塁で逆転の3点適時二塁打を放ち、6月22日以来となる7勝目を贈られた。プロ入り後、初めて1試合複数本塁打を打たれ、5安打は全て長打。5失点も自己ワーストタイ。それでも勝ち、チームは自力優勝が復活した。

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ベンチで応援していた佐々木朗は、松川の決勝打に思い切り右手を上げた。「泣きそうになりました」と打ち明けた。試合後はベンチ裏でヒーローインタビューの女房役を待ち受け、「ありがとう」と素直に伝えた。

立ち上がりから制球に苦しんだ。初回2死走者なし。楽天浅村を3球で追い込んだが、フォークを2球、引っかけフルカウント。最後は真っすぐが外れ歩かせた。続く島内はカウント1-2と追い込みながら、この日最速161キロを捉えられた。右翼線へ先制を許す適時三塁打とされた。4回の茂木の2ランも、先頭を四球で歩かせていた。さらに、5回の浅村と6回の鈴木大のソロは、ボール先行で打たれた。四球を与えたくない心理から、カウントを取る真っすぐを狙われる場面が目立った。

反省は残ったが、2カ月ぶりの白星だ。「もちろん反省しないといけませんが、後半戦の悪い流れをチームが変えてくれると思う。次はしっかり自分の力で勝てるように頑張りたい」と前向きに話すことができた。17日のオリックス戦に先発予定だったが、試合開始30分前に雨が強まり中止。登板日が2日ずれた。調整の難しさはあったとしても「その中で、やっていかないといけない。また、いい勉強になったと思います」と言い訳にはしなかった。

後半戦3試合目で初勝利。シーズンを通しての戦いで、当然、相手にもデータは蓄積される。だからこそ「まだまだ修正しないといけない。たくさん勉強していって、いいピッチングができるように。少しずつ成長できたら」と自らを戒めるように言った。この日も4回以降はフォークで空振り三振を奪った。修正、勉強、成長。前向きな言葉で、チーム再浮上の軌道も描く。【古川真弥】

○…佐々木朗が甲子園の東北勢初優勝へ向け、エールを送った。20日に仙台育英(宮城)と聖光学院(福島)が準決勝を戦うため、東北勢の決勝進出は確定している。同じ東北の岩手出身だけに「東北勢はまだ(甲子園で)優勝していないので、頑張って欲しいなと思いながら見ています」と明かした。

○…松川は6回の打席に入る前、森脇ヘッド兼内野守備コーチから「四球の後、必ず甘い球がくる。積極的に振っていけ」と助言された。代打菅野が四球を選び、塁が埋まっていた。石橋の初球、甘くきた146キロを捉え、右中間を破る走者一掃の3点適時二塁打。佐々木朗に白星を贈り「勝ちというのが似合う投手だと思う。何とか勝たせられて良かった」と喜んだ。

○…安田が同点の3号ソロを放った。1回に1点を失った直後、2回2死走者なしで楽天岸のチェンジアップを右越えに放り込んだ。「先制された後だったので、なんとか塁に出ようと思っていました。すぐに取り返すことができて良かったです」とニッコリ。立ち上がり、制球が不安定だった佐々木朗を勇気づける1打になった。

▼ロッテ松川が6回に満塁走者一掃の逆転二塁打を放ち、プロ初の勝利打点(V打)をマークした。松川の殊勲安打は6月26日オリックス戦の先制打以来2本目で、逆転打は初めて。ロッテ高卒新人のV打は18年9月24日オリックス戦の安田尚憲以来となり、球団の高卒新人捕手では毎日時代の57年に3度記録した醍醐猛夫以来65年ぶり。松川が満塁で迎えた打席は3打数3安打(2二塁打)、7打点となった。

▽ロッテ井口監督(松川の決勝打に) 真っすぐを自分で絞って一発で仕留められた。彼の持っている勘というか、そういうのがしっかりはまったと思う。(佐々木朗は)自分の投げたい球は、ずっと投げてるんで、バッテリーで配球を組み立てながらやっていかないと。

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