日本人最速150号に王手ヤ! ヤクルト村上宗隆内野手(22)が6回、45号逆転3ランを放った。球団日本人選手最多で並んでいた04年岩村の44本を塗り替える1発は、自身通算149本目。「清原超え」となる最速150号にあと1本と迫った。会心の一撃に感情を高ぶらせ、雄たけびを上げた4番の1発で、チームは逆転勝利。史上7人目の500試合先発登板だった石川の黒星も消し去り、2位DeNAと4ゲーム差をキープした。

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会心の打感が残る手をたたき、ベンチに向かって指をさした。45号逆転3ランを放った村上が、ほえた。右翼席上段まで伸びた打球は、見届けるまでもなかった。2点を追う6回1死一、二塁の場面。初球を豪快に空振りし、わずかに中に入った2球目を捉えた。「空振りしてしまったので、これじゃあもう1回空振りするなと思ったので、打席の中で少し微調整してスイングすることができました」という離れ業だった。

153キロの直球を捉えた、お立ち台ではその感触に「完璧です!」。神宮で勝利をもたらすダイヤモンド1周に「最高です!」。湧き出るアドレナリンに感情は最高潮。20日中日戦(バンテリンドーム)の2本で並んでいた岩村の球団日本人記録を塗り替えた。日本人最速の通算150号にもあと1本。この試合、通算500試合先発登板の石川から黒星を消し去る1発。大先輩が球史に名を刻んだ日に、黒星をつけるわけにはいかなかった。

この日も、試合前の神宮球場には強い日が差していた。前カード、敵地で中日に負け越して仕切り直しの6連戦初戦の火曜日。昼下がりにグラウンドに姿を見せ、ティー打撃をバックネット裏に向かって打ち始めた。となりに寄り添う杉村打撃コーチがいう。「体力的に今が一番きついんじゃないかな。でもゲーム入るとね、目がギラギラしているのね、アイツ最近」。いつもと同じ準備をして、試合が始まると目の色が変わる。スイッチを入れて、試合に臨んでいた。

チームは2試合ぶりの勝利で、猛追する2位DeNAと4ゲーム差をキープ。26日から敵地での直接対決首位攻防3連戦を前に、負けられない戦いは続く。「自分たちの野球をして目の前の試合を勝つ。ここだけ。本当に苦しい試合がまだまだ続くと思いますけど、僕らは目の前の試合を全力で勝ちにいきます」。後ろは振り返らない。ぎらつかせた目で、ただ前だけを見てけん引する。【栗田成芳】

○…高津監督が4番の成長を実感した。2軍監督時代(17~19年)から4番で起用。プロ5年目を迎え、記録を次々と塗り替える村上に「もともと体大きくて、体の強さあるけど、心も強くなっていると思う」という。打ち取られた打席の後でも、下を向かず後続に声をかける姿に「見えない部分、野球脳もそうだし、心もそうだし、そういうところの成長強さは去年より増した」と感じ取っていた。

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