西武辻発彦監督(63)が、今季限りで退任することが10日、決まった。2位ソフトバンクに2連敗を喫し、CSファーストステージで敗退。試合後に奥村球団社長から伝えられた。17年から6シーズン指揮を執り、18、19年のリーグ連覇に導き、2位1回、3位2回でBクラスは1度だけ。退任会見に臨んだ辻監督は、晴れやかな表情で、明るく努めながら気丈に振る舞い、監督として貫いてきたこと、選手への思いなどを明かした。

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-思い出に残っている1勝

1勝はやっぱり監督初年度の初戦ですか。札幌ドームですね。あのとき菊池(雄星)が先発して。僕の監督初戦で、レギュラーが埋まってなかったのでね。そういう中で、菊池が一生懸命に投げて、序盤でしたけど、あれファーストに西川かな。走って、大谷がライト線かなんかに打って、これは1点やられたなというところで、木村、浅村、炭谷とつないでホームでアウトにした。こういう野球をしてたら勝つな、という素晴らしい試合だった。そういう1年目の初めての公式戦で、あの試合を勝てたこと。その試合の内容が、内野ゴロ2つでサードランナーが突っ込んで2つ得点できたとか、こういう野球をすれば勝つんだよ、と選手に話したような気がします。

-アマチュアの指導者は

なんか、いいですねえ。高校生が一生懸命やってる野球をずっと見ていたいですね。練習がいいですね、試合より。見て、ぶつぶつって言いながら。体だけはスリムに保っていたいです。

-選手を責めなかったのはポリシー

ミスすることもあるじゃないですか。でも一生懸命やってるんですから。だからおろそかにしたら、ミスしたものを次の日に反省しながら、それに取り組んでくれればいい。自分もそういう経験をたくさんしましたし、そこはミスがなくなるように努力していけばいいだろうし。気持ちを切り替えないと、次に向かっていけないんでね。自分に言い聞かせてましたよ。選手にどうこう言うんじゃなく。負けてやっぱり悔しいんですよ。なんであんなミスしたんだよって、いっぱい感じますけど、でも、次の日に試合があるわけだから。自分が引きずるわけにいかないし。逆に失敗したことを選手にチクっと言ってリラックスさせたりね。そういうのを、すごくセンシティブに感じたのでね。みんな敏感ですからね。選手もそういうのを言ってくれた方が楽だったんじゃないかなと思いながら、ちょっかい出してましたけどね。

-6年間率いて、これだけは大事にした、貫いたこと

うちの選手はみんなお人よしというか、人がいい選手が多いので。だからそういうところですごく、言葉を気を付けましたね、うん。やっぱり山川でも、ああ見えて、本当に気が優しくてね。ほかの選手もみんなそうです、1人1人の性格は違うんですけど。とにかく、監督が別じゃなくて、近くにいたいな、っていうことだけだった。うるさいな、って思ったかもしれないですけど、ちょこちょこちょこちょこ接することがね、僕も楽しかった。水上みたいに、ちょっかい出してくるやつもいますから。本当にうれしかったです。ちょっかい出してくれよ、って思うぐらい。たくさんいい選手に巡りあえたことはもちろんそうですけど、やっぱり(監督就任と)同じ年に、ドラフトで入ってきた源田の存在が一番大きかったような気がします。まあ、同期生同期生っていつも言っていましたけど、あの子がいなかったら、優勝は、僕はなかったような気がしますけどね。打つ打たない、じゃなくて、やはりライオンズを立て直すには、ショートが一番の選手が育たなかったら、無理だと思った中で、源田が入って期待してね。1年目から本当に守りだけでも十分貢献してくれた。山川だってあれだけ打ってくれてもちろんそうですし、森友哉もそうですし、みんなそうですけど。ただ、やっぱりやりたい野球は、ショート源田がいなかったらできなかったということですよ。

-選手としても監督としても引き継いでほしいこと

昔と今は違うんですよね。僕は僕でしかないのでね、新任の監督は新任の監督らしく色を出せばいいし、それに俺みたいにやれとか、誰々みたいにやれとか言うことは、邪道じゃないかなって思いますけどね。やっぱり一緒に戦っているところが、一番大事なところだと思いますよ。

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