打ち負けへんよ-。セ・リーグは8日、来季日程を発表し、阪神は3月31日の開幕戦で京セラドーム大阪にDeNAを迎える。

今季9勝16敗と大きく負け越した相手との初陣になるが、岡田彰布監督(64)は「右(打者)が増えとるからな」と、苦手とした左腕攻略に自信を見せた。攻撃力アップで、強打のDeNAと互角に渡り合う。

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岡田阪神の初陣の相手が決まった。3月31日の開幕戦で大阪にDeNAを迎える。指揮官は来季の日程発表にも泰然自若だった。「どっちみちやらなあかんのやからな。別にそんなん何にもないよ」。今季大きく負け越した相手。充実の左腕に苦戦を強いられたが、平然と言い放った。「また左とか来るんやろうな。こっちもな、ちょっと右が増えとるからな」。今永や浜口ら左の好投手攻略に自信をのぞかせた。

来季の先発オーダーには、強打の右打者を組み込む見通しが立った。日本ハムから「直球破壊王子」の渡辺諒、高浜をトレードで獲得。ドラフト1位では即戦力の中大・森下翔太外野手(22)を指名。調査中の新外国人野手も右の外野手に絞っている。秋季キャンプでは岡田監督が高評価する高卒3年目の井上もいる。今季は近本、中野、佐藤輝ら左打者が多かったが、複数の右打者が先発候補に挙がる。

今季DeNAには9勝16敗。敵地横浜スタジアムでは2勝11敗、8連敗のままシーズンを終えた。「あんまりオレ、そういうイメージないなあ。横浜行ったらみんな打つイメージあったけどなあ」。打ち合いでも負けないイメージしかない。DeNA三浦監督の父が岡田監督の後援会のメンバーだった縁もあり、小さなころからよく知っている間柄だ。

今季は開幕9連敗を喫したが、開幕ダッシュへの力みはない。「あんまりオレは気にしてないけどな。スタートダッシュがいいに越したことはないけど、それほど意識してないよ。優勝の時は負けたんちゃうか。3連敗はあかんけど」。優勝した03年、05年はいずれも黒星発進。1年間を見据え、18年ぶりの「アレ(=優勝)」へ地に足をつけて戦う。【石橋隆雄】

▼阪神は今季、左投手に対してチーム打率は2割2分8厘。対右投手の2割5分1厘から大きく見劣りした。来季の開幕カードで対戦するDeNAの主な先発左腕に対しても、チーム対戦打率で石田に2割5厘、浜口に2割9厘、今永に2割1分1厘と苦戦した。

 

〇…阪神大山が岡田監督から珍指令を受けた。ティー打撃時に「ボールの上たたかへんと、スピンはかからへん」と指導を受けた。一般的にはボールの下にバットを入れて、打球を上げるイメージがあるが、指揮官の助言は違った。大山は「ボールの上をつぶす。つぶしながら(打球を)上げる。ラインドライブがOKの意識で上からたたいて、(打球を)上げた」と解釈した。

早速新打法を実践し、フリー打撃では16本のフェンスオーバー。本人も「自分で打っていて違った」と好感触を口にすれば岡田監督も「ちょっとしたコツ。力入れんでもあんなに飛んでいった」とうなずいた。

ボールの上をたたく点に関して指揮官は「ラインドライブかかったら、野手も捕りにくい。(ボールの下をこすった)スライスは飛べへん」と持論を展開し、同様の理論を板山や木浪らにも伝えていた。

〇…岡田監督は、敗戦時のファンへのあいさつを「廃止」する考えを明かした。今季まで勝敗に関係なく試合後に監督、コーチ、選手がグラウンドに並んでファンに一礼していた。「眼中にない(笑い)。オリックスの時はやったけどなあ、勝った時だけや。阪神ではやってないよ」と話した。負けず嫌いの性格だけに「負けたらすぐベンチに帰るわ。オレは負けたら腹立つわ」と、すぐにグラウンドを後にし、気持ちを切り替える。

○…国内FA権を取得している岩貞が、決断の日を迎えた。9日は権利行使を球団に伝える期日。残留が基本線とみられる中で、甲子園や鳴尾浜で練習を続けながらギリギリまで熟考を重ねてきた。秋季キャンプに参加中の岡田監督は「(期日は)明日やろ」と、左腕を気にかけた。決断の行方が注目される。

○…12球団合同トライアウトが開催されたが、岡田監督は「誰も取らへんやん。誰が出てるのか知らんけど」と、獲得見送りを明言した。他球団のファームの試合にもプロスカウトが視察している。「みんな見ているから、力分かっているから今更な。今からこんな選手やったんや! みたいなのはないと思うよ」と冷静だった。

○…及川雅貴投手が初めて1段モーションでの投球を試した。午後の個別練習で2段モーションを封印して37球を投げた。その後は安藤投手コーチらと意見交換し、考えをすり合わせていた。フォーム改善の理由を「感覚的には昨季がいいシーズンだったので、まずはそこに戻していけるようにという取り組みです。今はボールがダメなので。(変えるかは)まだなんとも言えないです」と説明した。