栗山英樹監督が初陣を含む4試合を4連勝で終えた。メジャーリーガーや多くの代表常連がいなくても勝ちにこだわり、その通りの結果を出した。WBC本戦へ弾みがつくのは間違いないが、担当記者が感じた「収穫と課題」を挙げる。

【収穫】

(1)村上 第3戦まで4番で固定した村上が計4本塁打と量産。それすら、今や“期待通り”と思わされた。他の打順にも含みを持たせていた栗山監督だが、これで本戦でも「4番村上」は堅い。軸が定まっているから、オーストラリア戦では、あえて7番に岡本和を置くことができた。

(2)初選出組 28人中16人いた初選出組の多くがアピールに成功した。投手では、高橋宏、宮城、戸郷、高橋奎と従来は先発の4人が2番手で好投。「第2先発」を務め上げた。栗山監督が球数制限のあるWBCを勝ち抜くカギに挙げる役割だけに大きな収穫だ。リリーフ専門でも、大勢、湯浅、山崎颯が好投を見せた。

野手の初選出組では、唯一4試合連続スタメン出場した牧の一塁にメドが付いた。初選出ではないが、岡本和も一塁でプレー。本職の一塁手がいない中、起用の幅が広がった。近本、塩見と「1番中堅」の2人もアピール。甲乙付けがたい。

(3)足攻め 日本ハム戦では近本が盗塁から先制ホームを踏んだ。周東は代走で存在感を発揮。本戦では1発攻勢は、そうはできない。打てなくても点を取る方法を確認できた。

【課題】

(1)遊撃手のバックアップ スタメンは源田で堅いが、控え1番手の中野は初安打した10日オーストラリア戦までバットでの見せ場は限られた。周東もいるが、代走の切り札に取っておきたいところだ。遊撃手は球界全体で世代交代の時期。本戦で巨人坂本を呼べば状況は変わるとしても、まずは源田が万全であることが求められる。

(2)リリーフ左腕 もともと左腕は4人だけの中、今永は先発、宮城、高橋奎は第2先発。唯一リリーフ専門の森浦は日本ハム戦で3連打を浴びた。9日オーストラリア戦は1回1安打無失点と意地を見せたが、どう評価するか。本戦では左の専門職を増やすか、あるいは宮城、高橋奎をリリーフ待機とする手もあるか。

(3)WBC使用球 制球に苦しむ投手も見られた。本戦までに「慣れる」時間は限られる。どこかの段階で、シビアに「合う」「合わない」を判断する必要もあるだろう。【侍ジャパン担当 古川真弥】