伝説の男になる! 阪神の新人7選手が11日、甲子園で施設見学と体力測定に臨み、ドラフト1位の中大・森下翔太外野手(22)は虎伝説の継承を宣言した。初めて来館した甲子園歴史館で、岡田彰布監督(65)らが決めた伝説のバックスクリーン3連発の映像に興奮。レジェンドたちの勇姿に刺激を受け、「歴史館に名を刻めるように」と誓った。新人勢は体力測定、施設見学などを終え、12日、大阪市内で新入団会見に臨む。

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森下は甲子園歴史館に初めて足を踏み入れ、伝説と化した85年バックスクリーン3連発の映像に心を揺さぶられた。巨人槙原からバース、掛布、岡田が大アーチをかけていく…。22歳は「いい刺激をもらえました」と興奮気味。「本塁打(3連発)の1人になれたらいいな、と。結果を残していく中で、バックスクリーン3連発のような記録を何かしら残せればいいなと思います」と腕ぶした。

東海大相模では通算57本塁打、中大では通算9本塁打を放ったスラッガー。東都リーグでは学生最後の打席で左越えソロを放つなど、勝負強さにも魅力がある。ただでさえ、チームで希少な右の長距離砲。広角に飛距離を出せるスタイルは岡田監督からも高評価されており、プロ1年目から右翼レギュラー候補の1人と目されている。

182センチ、92キロながら50メートル6秒1の俊足。走攻守の3拍子がそろっている上に、故障しにくい体も武器の1つだから頼もしい。虎の大先輩でもある金本知憲氏の1492試合連続フルイニング出場という偉業にも「目指していきたい」ときっぱり。虎伝説の後継者として、申し分ない逸材だ。

来年2月の1軍沖縄キャンプでは伝説を作った1人、岡田監督からも直々に指導を受けることになる。「いい部分をしっかり吸収して成長できれば。歴史館に名を刻める選手になりたい」。新人王も受賞した指揮官のようなレジェンド級の活躍を、長いスパンで目指していくつもりだ。

岡田監督がリーグ優勝を決めた05年以来、チームは17年間も胴上げから遠ざかっている。甲子園歴史館で胴上げの大きなパネルを見て、思いはより高まった。「もう1回(岡田監督を)胴上げして、そのメンバーになれたら最高。優勝を目指して頑張りたい」。12日の新入団会見で初めて縦じまユニホームに袖を通す。偉大な先輩たちを追い、プロ野球人生を突き進んでいく。【三宅ひとみ】

◆85年阪神の甲子園バックスクリーン3連発 4月17日、巨人2回戦の7回に伝説は生まれた。1-3と2点差を追う阪神は7回2死一、二塁から3番バースが槙原の初球をバックスクリーンへ逆転3ラン。続く4番掛布が3球目、5番岡田も2球目を中堅へ本塁打。実際には掛布の打球はバックスクリーンわずか左の観客席へ飛び込んだが、「バックスクリーン3連発」として語り継がれている。球団初の日本一を達成した85年には欠かせないシーンとなった。

◆3者以上連続本塁打 阪神では過去9度記録。直近は11年5月3日巨人戦(東京ドーム)での鳥谷、新井貴、ブラゼル。甲子園では85年4月17日巨人戦でのバース、掛布、岡田の「バックスクリーン3連発」を最後に出ていない。球団最長は76年9月19日広島戦での4者連続(中村勝、掛布、ラインバック、田淵)。なお12球団では今季の西武-ロッテ戦での3者連続(森、山川、呉念庭)が唯一。プロ野球最長は5者連続で、東映(現日本ハム)が71年5月3日ロッテ戦の10回に作道、大下、大橋、張本、大杉が記録した。

○…新人体力測定に参加した森下の数値は平均値となった。公開された垂直跳びでは58センチで7人中5位タイ。立ち幅跳びでは2・52メートルで6位だった。仲野トレーナーは「野手で言うと平均値で、バランスの取れた選手。まだまだ伸びしろがあって、一段階、二段階も伸ばせる。今後ますます楽しみです」と振り返った。森下は「ぼちぼちって感じですね」と苦笑いだった。

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