ジャガー中野! 侍ジャパンに選出されている阪神中野拓夢内野手(26)が、1軍キャンプ地の沖縄・宜野座でインタビューに応じ、WBCへの思いを激白した。昨年のサッカーW杯で途中出場から神がかり的な活躍を見せた日本代表FW浅野拓磨(28)、MF三笘薫(25)のような切り札的役割を意識。「ここで盗塁を決めたらヒーロー」と超ポジティブメンタルを携え、日本列島を熱狂させる。【取材・構成=中野椋】

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中野も心を震わされた。昨年11月末のサッカーW杯日本-ドイツ戦。後半38分、途中出場の「ジャガー」浅野が勝ち越し弾。「ジョーカー」三笘は鋭いドリブルで強烈なインパクトを残し流れを変えた。WBCを控える今、テレビ画面越しの侍ブルーたちが、これ以上ない手本だと実感する。

「サッカー、見てました。途中から出る人が活躍するとチーム全体が盛り上がっていた。そういう選手が後から出ることによって“何かしてくれるんじゃないか”という周りの期待もある。自分が途中から出て印象に残るプレーをすれば、ファンのみなさんも次に期待してくれるし、自分の価値も上がると思う」

すでに取材などで何度も口にしてきたのが、球団OBの鳥谷敬氏(日刊スポーツ評論家)が13年WBCで決めた「伝説の盗塁」。憧れの先輩は負ければ終戦だった台湾戦、1点ビハインドの9回表2死一塁に二盗を決め、逆転勝利を呼んだ。足が震えて仕方がないような場面。中野は極めてポジティブに、その時をイメージする。

「アウトになってしまったら…と消極的にならずに“ここで盗塁を決めたらヒーローになれる”くらいの気持ちを持っていければ、思い切ってスタートも切れる。どんどん攻める強い気持ちを持ちながらやっていければいい」

栗山監督も21年盗塁王のスピードに期待する。代表内定の電話をもらったのは1月中旬、ある朝のこと。

「知らない番号で。自主トレの朝。正直、寝起きくらいの感覚…(笑い)。9時くらいだったんですけど、栗山監督だったので、速攻で跳び起きて、めちゃくちゃびっくりして、背筋が伸びました」

率直な感想は「まさか自分が…」。当初は「本当に自分なのかな」とも思っていた。ただ今はもう、腹をくくっている。

「自分も行くのであればスタートから出たい。そのために強化試合、大会が始まるまでの期間が大事。ショートであれセカンドであれ、自分のプレーをアピールできれば」

試合終盤の「ジョーカー」から、さらにその先へ。指揮官は「二塁と遊撃両方を守ってもらう」とユーティリティーな活躍に期待する。一方、バットでも存在感を示せばスタメンの道が開ける。遊撃は西武源田、二塁はDeNA牧、ヤクルト山田に負けない存在感を示せば、日本の戦力層も、また1つ厚くなる。

「日にち的にはWBCが近づいてはいるけど、タイガースのキャンプでやるべきことにまずは集中して、取り組むつもり。今ここでできることをやっていれば、WBCに行っても生きてくると思う」

侍ジャパンでは背番号7をつける26歳。約20分間の激白には、侍の覚悟が詰まっていた。

○…中野は17日から侍ジャパン宮崎強化合宿に合流するまでは、二塁の守備練習に専念する。2年間レギュラーを務めた遊撃から、今季は二塁にコンバート。キャンプでは全体練習でのシートノック、個別練習ともに「今後もずっとセカンドの練習だけをしていこうと思います」と明かした。宮崎では「ショートの練習もしながら、どちらもできるように準備したい」。まずは二塁守備の質を高めることに注力する。