西武高橋光成投手(26)には敵地がホームに見えた。

ソフトバンクファンが緑のユニホームをまとう、ひなたサンマリンスタジアム宮崎。「僕の色でしたね。アウェーじゃない感じがしました、勝手に」。平常心の投球がより落ち着く。群馬・沼田市出身で緑が大好き。その色のグラブを豪快に振り、首位ソフトバンクから三振の山を築いた。

振り逃げによる1イニング4奪三振を含む、自己最多タイ11奪三振で圧倒し、うれしい1勝目だ。3番柳田以外のスタメン全員を、空振り三振に。「真っすぐで押せている分、フォークが生きているイメージですかね」。この日の最速は152キロも、3月31日の開幕戦では自己最速156キロを投げた。「すごく手応えを感じているし、まだまだいけるという手応えです」と胸を張る。

左足をがに股のように上げる。バレエの動きをとり入れた新フォームで球速、球威の増強に成功した。「あんな優雅じゃないです」と笑いながら、やってのけた仕事は華麗だ。投げるだけではなく、8回無死二塁のピンチでは犠打を軽やかに処理し三塁封殺。「キャンプの成果が出たかなと思います」。宮崎・南郷の花粉症対策でマスクをつけながら徹底した、守備練習の答えも出した。

日南からは応援ツアーも訪れた。球場の9割がタカ党でも、多くの光成コールはうれしい。「今日は球場に来ていただいてありがとうございます。みんなで優勝しましょう!」。防球ネットにかじりつき、ヒーロー高橋の姿に興奮し拍手した少年たちは、ホークス応援の装い。エースの姿はかっこいい。【金子真仁】