ロッテ佐々木朗希投手(21)が本拠地マリン名物の強風とも闘いながら、ソフトバンク相手に5回無安打無失点の快投を演じた。自身初の「こどもの日」登板で許した走者は四球と振り逃げの2人のみ。打者17人から今季最多の12奪三振と圧倒したが、右手中指に血マメが出来たことも考慮し、5回89球で降板した。防御率は0・84へと良化し、大事には至っていない様子だが、次回登板の予定は慎重に見極める。試合は延長12回の末に0-0の引き分けに終わった。

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未知の強風の中でも、佐々木朗は長い手足で躍動した。バランスは崩れない。マウンド上で左足を高く上げて右足で真っすぐ立ち、腕を振る力強い姿。大きな翼を広げて相手を威嚇するツルのようだった。

「こどもの日」登板もプロ初だ。佐々木朗のモチベーションの1つは「子供たちのために-」。石垣島での春季キャンプ中から、人一倍、子供たちのサインや記念撮影の求めに応じてきた。WBCでは大谷やダルビッシュに並ぶ、子供たちの憧れの存在にもなった。5回89球。本来はもっとゼロを並べる姿をプレゼントしたかった。

「球数が増えてしまい、リズム良く投げることができませんでした。もう少し長いイニングを投げたかったですが、無失点に抑えられたことは良かったと思います」

試合開始時の風速計は17メートル。プロ24試合目の本拠地登板だが、味わったことがない過去一番の暴風に戸惑った。初回、1番中村晃を四球で歩かせた。2回からはフォークに加え、スライダーも交えながら投球を組み立てたが、変化球の曲がりがいつもより大きくなり、制球に苦しんだ。観客席から飛んできたポリ袋の回収作業でもタイムもかかった。風とも格闘した。

風との対峙(たいじ)にも慣れた4回は圧巻だった。3番近藤をフォークで、4番柳田にも3球勝負のフォーク。5番栗原もフォークとスライダーのコンビネーションで1-2とし、最後は160キロ直球で、3回途中からの5者連続K。バックネット裏では「R・SASAKI」のユニホーム姿の少年が父とハイタッチする姿もあった。塁に出したのは初回の四球と、3回の振り逃げの2回だけ。1本の安打も許さず、毎回の12奪三振で降板した。

試合後、吉井監督は「ちょっと指にマメが出来たので」と昨年7月に約1カ月登板間隔を空けた時と同じ右手中指に血マメが出来たことを明かした。佐々木朗は「去年と同じことにならないように早めに切り上げることになりました。大丈夫です」。次の登板に大きな影響がないことを強調。数日間様子を見て、次の準備を進める。【鎌田直秀】

○…再三の得点チャンスもチーム17三振を喫し、無得点に終わった。延長12回も1死一、二塁のサヨナラ好機をつくったが、代打大下が中飛。中村奨が一ゴロで万事休す。吉井監督は「監督がへっぽこなので、点が入りません」。4回先頭の井上の中飛は上空の強風に戻されて本塁打にならなかった不運もあったが、ポランコの2本塁打で挙げた以外の得点は4試合連続出ていない。

▼ロッテ-ソフトバンク戦はロッテが17三振、ソフトバンクが19三振で、両軍で計36三振。両軍合わせた三振数は9回試合では過去3度ある29三振が最多だが、延長を含めた数では93年7月6日中日-ヤクルト戦の36三振に並ぶ最多タイ。この試合も延長12回で、ヤクルトが20三振、中日が16三振を喫した。