阪神が2位DeNAとの首位攻防初戦を制し、ゲーム差を2に広げた。連勝は6月3日、4日のロッテ戦以来。1カ月半ぶりに先発した青柳晃洋投手(29)が7回2失点と好投し3勝目を挙げた。

 

青柳は胸の内をすべて吐き出すかのように、お立ち台で第一声を発した。「やっと帰ってこれました~」。倉敷での阪神主催試合では過去最多の3万268人がスタンドを埋めた中、4試合連続で失点中だった初回を3人斬り。内角を突き、今季初めてカーブを交えた投球で打たせて取った。7回6安打2失点の好投。5月12日DeNA戦以来60日ぶりの勝ち星となる3勝目を手にし、チームを6月4日以来の2連勝に導いた。

「プレッシャーだったりいろいろあったので、一発目がしっかり投げられたのは大きい。プラスでチームが勝てたのが一番大きい」

2軍で過ごした約1カ月半は、自分自身を見つめ直す貴重な時間となった。同じ変則の岡留、岩田を始め、ルーキーの門別、茨木らと技術論、配球、考え方を話し込む機会が多かった。試合を一緒に見ながら意見交換することもあった。これまでの経験を伝えていく中で「(1軍では)いざ試合になった時にそこまで考えられてなかった」。アウトの取り方、絶対に三振を取らないといけない場面など「後輩にはこうやって言ってるんだから、自分もこうやってやった方がいいなって、再確認できたことが結構ありましたね」。長い2軍生活で、原点に立ち返ることができた。

もともと持ち味の1つだが、課題だった左打者への内角攻めを自己流で克服した。昨季まで「狙って投げられていた」というが、今季は「投げきれなかったのが多かった。何でだろうと思って練習しました」。要因について「投げなきゃと思って内を見過ぎた時に、体が開きやすかったりしていた」と分析。改善策として「見過ぎない。見るところをちょっと変えてみたりしました」。試行錯誤を重ね、勝利に直結させた。

試合前のマッサージ終わりに岡田監督から「そんな切羽詰まった試合じゃない。今日どんなピッチングしようが、後半戦はローテーションで投げなアカンわけやから、楽にいけ」と声をかけられ、肩の荷が下りた。チーム、ファンの誰もが待ち望んだエースの復活星は、勝負の後半戦に向けて大きな価値のある1勝となった。【古財稜明】

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