巨人が中田翔内野手(34)と秋広優人内野手(20)の今季2度目のアベックアーチで快勝した。
2回に中田翔が広島床田からプロ野球史上11人目の“200人斬り弾”となる先制11号ソロで先手をとった。3回には秋広も6号ソロで加勢。兄貴分と、伸び盛りの弟分との「令和の師弟」の1発攻勢で3位広島に0・5ゲーム差と肉薄した。
◇ ◇ ◇
中田翔が、ベンチで秋広をニッコリ笑顔で迎え入れた。3回1死、6号ソロを放ってダイヤモンドを1周した弟子とグータッチ。「純粋にうれしかった。アキ(秋広)が一番うれしいと思いますし、チームとしても大きな2点目になった」と、自分のことのように喜んだ。2回先頭で自身が放った左翼席への先制の11号ソロに弟子が続き、アベックアーチが完成した。
沖縄・石垣島の自主トレで2年連続、寝食をともにした。過ごした時間が長い分「違う感情が入るのはある」。右太ももの肉離れで離脱中の5月には、1軍で奮闘する秋広とビデオ通話で何度も話した。1軍投手の特徴や攻略法を伝授すれば、弟子から足の状態を心配された。
同13日広島戦では、延長12回に同点適時打を放った秋広から、ラインが届いた。「僕の手本を見ましたか?」。秋広が後に、興奮して「ついつい送っちゃいました」と反省した言葉に「あまり調子に乗るなよ?」と苦笑いで大人の対応をした。
日本ハムに入団した16年前、稲葉や金子誠、小谷野ら先輩の存在に助けられた恩義は忘れない。「先輩方に比べたらまだまだですけど、(後輩と)いろんなことを話して引き出しを増やしてあげられれば。体が元気であれば10年、20年やりたいけどプロ野球界はそうもいかない。僕は短いプロ野球人生、1年1年全うするだけ」と未来を託す。義理堅い師匠と弟子への期待があるから、14歳差を感じさせない関係があった。
広島床田からの初アーチで200人目の投手から本塁打を放ち、通算300号に王手をかけるも「まだまだ通過点」と気に留めない。弟子にカッコいい師匠の背中を示し続ける。【小早川宗一郎】
▼中田翔が先制の11号。床田からは初の1発となり、これで中田翔が本塁打を打った投手は200人目。本塁打を打った投手数は中村(西武)の260人が最多で、200人以上は11人目になる。中田翔は美馬(ロッテ)からの7本が最も多く、5本以上は5人だけ。200人のうち143人が1本で、この1発はまだ通算299本目。中村の343本目を抜き、最も少ない本塁打数で「200人斬り」を達成した。