ソフトバンク藤本博史監督(59)が本音でチームを語る企画「藤もと亭」。第4回のテーマは「現代選手との向き合い方」です。11月に60歳を迎えるパ・リーグ最年長監督。ベテランをはじめ「ゆとり世代」「Z世代」などの若手を意識した接し方とは? 前半戦を9連敗で終えたチームは3位から巻き返しを図ります。【取材・構成=只松憲】

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大関、柳町、川瀬らの20代中盤に対して、藤本監督はどんな接し方をしているのだろうか。

藤本監督 それはよく考えるよ。「ゆとり世代」「Z世代」と言われる世代のことやね。彼らには彼らの発想があるからそれに沿った考え方をしたい。僕は顔が怖いから選手から近寄ってこないかもしれないから、逆に僕の方から近寄って声をかけるということに気をつけてるよ。

最も意識するのは、語尾にクエスチョンマークをつけることだ。

藤本監督 僕たち昭和の時代は、「やれ」と言われたら「はい」としか言えなかった。でも今はそうじゃない。「こうしたらどう?」って全て言葉の後ろにクエスチョンをつけること。アドバイスは「やりなさい」ではなく「こういうやり方もあるよ」と伝える。そこで選手が合う、合わないを決めたら良いんです。だから「できません」って言ってくる選手は今のところいないかな。特に僕は打撃技術のことはバッティングコーチを通して言います。だから練習の時はショート、セカンドの位置でバッティング練習を見てるんだよね。「間がないな」「タイミングが悪いな」って思った選手は、打撃コーチに「こういう練習方法があるよ」って言ったりします。俺が直接技術を指導したら、コーチと違う意見になった時に選手が迷ってしまうからね。俺も現役時代、そういうことがあったから。それは2軍監督、3軍監督、バッティングコーチ時代から意識してたし、1軍監督になっても一緒です。

解説者たちに心を鬼にしたこともある。

藤本監督 コロナ前の話。僕が1軍打撃コーチだった時、いろんな解説者がグラウンドレベルに降りて来ていました。バットを持って指導をするという偉い解説者の方も何人かいました。そういうのを見て僕は「たまに球場に来て、そういう指導をするのは辞めてください」ってハッキリ言うたよ。こっちはキャンプからずっと形を固めてるし、何年も一緒に選手とやってるからね。「違うことされたら困ります」ということ。僕も解説者を約10年やりましたが、選手にアドバイスは一切言わなかった。現役時代に「それどうなの?」って思うこともあったから。特に今の選手たちは優しいから素直に聞く選手ばかり。そういうところから悩まさないようにしたい。

ベンチスタートを告げる時はどんな言い方をしているのだろう。

藤本監督 選手には気持ちよく試合に出てもらいたい。でもスタメンを決める時は難しいです。レギュラーを外す時は声をかける。甲斐も今宮も何回かスタメンを外したけど「あとから頼むぞ」と。特に甲斐は捕手で一番しんどいポジションやし、「今日は休んで、いざというときに頼む」と言いますかね。

ソフトバンクの課題である世代交代についても考えている。

藤本監督 レギュラー9人の中で、3人も若い選手が入るという世代交代はなかなかできない。特に今はまだ前半戦が終わったばかりで、まだ優勝争いができる位置にいる。もしね、断トツ6位だったらポーンと全員若い選手に代えられるかもしれないけど、今それはなかなか難しい。栗原が完全にレギュラーになってくれれば世代交代だし、柳町も川瀬もそう。野村勇も一気に来てほしいけど…なかなかそのレベルには来てないかな。

勝ちながら育てる難しさを痛感している。

藤本監督 チャンスはそんなに多くはもらえませんよ。ハッキリ言って。僕らは試合に勝たなくてはいけないし、それを想定したメンバーを組む。そこに若い選手を入れるとしたらなかなかね…。開幕前、正木に50打席はチャンスをあげるって言ったけど、全く打てなかった。シーズンに入って2人以上に50打席をあげるのは本当に難しい。それを勝ちながらっていうのはなおさら難しいですよね。

前半戦は9連敗でフィニッシュ。43勝37敗2分け、貯金6の3位で折り返した。

藤本監督 残り61試合。いろんな意見があるけど、僕は8月に入って勝負どころだと思っています。1試合1試合大事に戦っていくのは必要だし、まだ優勝を狙える位置にいる。投手の登板過多っていうのは、優勝を争うためには1人、2人はあるかなと思ってます。今はある程度守ってますが、それでも登板が多い選手がいる。勝負どころでは仕方がない。リーグトップ38試合に登板している津森は、間隔が空きすぎてもだめだっていう選手でもある。本人は3日に1回投げたいと言ってるけど、あまり投げすぎてもね。そこは難しいですけど、とにかく必死に。巻き返せるように諦めずに頑張ります。

◆藤もと亭 98年の現役引退後に福岡市中央区平尾で開業した居酒屋。正式名称は「うまいもんや 藤もと亭」。藤本監督がオーナーを務め、新鮮な魚料理や野菜など季節にあわせたメニューが人気だった。「元プロ野球選手の気さくな店主がいる」と話題になり、多くの野球ファンが集った。11年からソフトバンクの2軍打撃コーチに就任するため、10年12月で閉業。