チカは元気! 首位阪神は最下位中日に4安打1得点で完敗。引き分けを挟んだ連勝は3で止まったが、近本光司外野手(28)が3回にメヒアから5号ソロを放ち意地を見せた。右肋骨(ろっこつ)骨折から復帰後、初となる本塁打で一時同点とし岡田彰布監督(65)も好調ぶりを認めた。2位広島に1差に迫られたが、この日は沈黙したクリーンアップが再起し、3日の同戦でカード勝ち越しを狙う。

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近本がクールにダイヤモンドを1周した。5号ソロで、唯一の得点。希望のアーチを右翼席へかけてみせた。

「しっかり強いスイングをすることを心がけました。浮いてきた甘い球を1球で仕留めることができてよかったです」

完全復活を証明する一振りだ。1点ビハインドの3回2死、自身初対戦となった中日メヒアの内角高め速球を引っ張った。打った瞬間スタンドインと分かる弾道。一時同点の一撃は、6月30日巨人戦以来の本塁打で、右肋骨(ろっこつ)骨折から復帰後、初の1発となった。

連続試合マルチ安打は「5」で止まったものの、連続試合安打は「8」に伸ばした。6回の中飛も鋭い当たり。岡田監督も「いやいや、もう普通じゃないか。あとのアウトのな、センターの方のな、悪い当たりじゃないもんな」と、リードオフマンの好調ぶりに目を細める。

ただ、選手会長の本塁打以外は二塁ベースすら踏めず、4安打1得点で完敗。6人の救援陣を打ち崩せなかった。前夜に3人で計8安打した森下、大山、佐藤輝のクリーンアップも封じられ、佐藤輝の1安打のみ。14安打10得点の大勝から一夜、「打ち疲れか?」と問われた指揮官は、苦笑いで首を横に振る。

「それはないよ、お前。そんなに打ってないよ。まあな、そんなに内容的には悪くないけど、そんなもんやけどな。おーん。上に上がりすぎやわな。低いライナーにしとけばいいけどな。まあ、打てんときはこんなもんやろ」

あくまで「打線は水もの」と捉えている。シーズンは残り50試合を切った。気落ちしている暇はない。

引き分けを挟んだ連勝は3で止まり、2位広島が勝利したため、ゲーム差は再び1に縮まった。「今は状態とかどうでもいいので、結果の方が大事」。プロ5年目の背番号5は、目の前の1打席、1勝にシビアになるべきタイミングに入ったと強調した。カード勝ち越しをかけた3日へ向け「どんな状況でも落とせないと思うので、頑張ります」ときっぱり。最下位竜からきっちり2勝つかんで横浜へ向かう。【中野椋】