そんなん、火消しは島本よ-。阪神がDeNAとの息詰まる接戦を制し、今季4度目の4連勝で貯金を今季最多タイの18まで増やした。13連敗で乗り込んだ敵地横浜スタジアムでカード3連勝の立役者は島本浩也投手(30)だ。この日は1点リードの7回1死二、三塁で投入され、後続2人を無失点でピシャリ。岡田彰布監督(65)も「島本さまさまよ」と大絶賛するしかない。2位広島が敗れ、ゲーム差は2・5に膨らんだ。真夏の虎が、強い!

島本が中1日で再び燃えさかる“火”を消した。

1点リードの7回、2番手浜地が投手前の犠打で一塁に悪送球した。無死二、三塁からなんとか桑原から三振を奪ったが、なおも1死二、三塁。左打者の1番佐野に対して岡田監督がベンチを出ようとすると、DeNA三浦監督が先に代打楠本を球審に告げた。虎の指揮官は「ラッキーやと思ったよ。そら、佐野を代えるんやから」とニヤリ。満を持して、当初の予定通り島本を投入した。

不敵な左腕は初球から強気に内角に直球を投げ込み、最後は3球目の高めスライダーで遊飛に仕留めた。さらに続く関根も外角高め146キロで空振り三振に斬った。満員の横浜スタジアムにDeNAファンのため息と三塁側の虎党の大歓声が交ざり合う。ザワついた雰囲気の中、島本は少し笑みを見せながらベンチに足を進めた。

「浜地の後を絶対カバーしようと思った。(佐野に代打は)予想していなかったけど、全力で1球1球投げることだけ考えた」。黙々と梅野のミットだけに集中した左腕を、指揮官は手放しで褒めたたえた。「そらお前、島本さまさまよ。いてなかったら、おととい負けとるよ。今日も」。4日のDeNA戦でも3点リードの8回2死満塁で佐野を空振り三振に仕留めていた。敵地でのDeNA戦3連勝の主役を大絶賛した。

育成出身のプロ13年目。左肘のトミージョン手術から昨季、3年ぶりに復活した。今季は5月23日に昇格し、ここまで21試合に登板。5試合連続無失点で5ホールド目だ。「今日みたいにしっかり抑えていけば信頼もしてもらえる。とにかくゼロを継続したい」。帰りのバスに向かう表情からも充実感が漂う。

指揮官は島本の良さについて「こういう時には島本やと思って投げさせているわけやから。それは秘密よ。何がええか言うのは」と笑顔ではぐらかした。負ければ自力優勝が消滅するDeNA三浦監督の気迫の采配も綱渡りでかわし、13連敗で乗り込んだ敵地で、21年4月9~11日以来の横浜スタジアム同一カード3連戦3連勝。チームは今季4度目の4連勝だ。2位広島が敗れ、ゲーム差は2・5に広がった。苦労人左腕の活躍で、がっちり首位固めに入った。【石橋隆雄】