今秋、11月11日から14日まで行われた東都大学野球1部6位の東洋大と、2部1位駒大の入れ替え戦。駒大の応援スタンドで選手が掲げているタオルを、2度見した。ん? どこかで見たことのあるデザイン…。大倉孝一監督(61)の、どアップのインタビューカットに「最下位決定戦だから、優勝決定戦だから」の小さい文字。バックには大きく「だからなに?」と書かれている。

これ、実は弊社写真映像部が昨秋の福島開催の際、駒大のチーム紹介として作った動画のワンシーンから切り取ったもの(YouTube日刊野球チャンネルで公開中)。駒大ファンが大倉監督のインタビューシーンでタオルを作成し、選手数人に配ったものだという。大倉監督は「アハハハ(笑い)。ビックリよ」と、笑い飛ばした。

「だからなに?」には、大倉野球の極意が込められている。「いつも通りが鉄則。それができないと、勝負どころで力は出せない」。チームの方向性、自分の役割。1戦目からいつもの力を出す。その積み重ねがリーグ戦。優勝争いだから、入れ替え戦だから、と気合を入れたところで、いつも以上の力が出るわけがない。それでも、選手を含め周りは節目節目で騒ぎ立て、選手は気持ちを高める。そこで大倉監督は言う。「だからなに?」と。

選手間でも今や流行語だ。柳野友哉主将(3年=大阪桐蔭)は「名言を作ったな~って思います(笑い)」と話した。来年は流行語大賞を狙うのか。「優勝できたら、連呼してみる?(笑い)」と、大倉監督。平常心でいつもの力を発揮する魔法の言葉「だからなに?」が、駒大を強くする。【保坂淑子】

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