大谷に会いにいきます-。侍ジャパン井端弘和監督(48)が新年のインタビューに応じ、24年シーズンにメジャー視察することを明かした。ドジャース大谷翔平投手(29)ら日本人メジャーリーガーの26年WBC、そして28年ロサンゼルス五輪での招集を見据えて、現地まで足を運ぶ予定だ。今年11月には連覇のかかる「プレミア12」に臨み、日本のさらなる強化を図っていく。【取材・構成=栗田成芳】

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24年、井端監督の視線は、海を渡った米国を向いていた。「行きますよ。その予定です。あとは行く時期ですよね」。大リーグ開幕後、シーズン中に視察予定で日程を調整中だという。目的の1つは、日本人メジャーリーガーとのコミュニケーションを図ること。当然、ドジャースへ移籍する大谷のもとにも訪れる。「僕が監督かどうかは分かりませんけど」と前置きした上で2年後の26年WBC、野球競技が復活する28年ロサンゼルス五輪を見据えて会いに行く。

井端監督 いいタイミングで視察にいけて、コミュニケーションを取れればと思っていますし、その中で試合もしっかり見られたら。次のシーズンはバッター専念ですけど、彼は二刀流。WBC、次のオリンピックが可能だったら、二刀流としてまた出てきてほしいと思っています。

井端監督と大谷。2人のプロ野球選手としての接点は3シーズンあった。大谷のプロ初勝利は1年目の13年交流戦中日戦、井端監督はベンチにいた。移籍した巨人では15年のオープン戦で対戦し、投手大谷から右前打をマーク。引退後の巨人コーチ時代、フリー打撃を終えた大谷にどういう意識で打っているのか聞いたことがあったという。

井端監督 「スイングスピードを上げれば打球が速くなる、打球が速くなれば遠くに飛ぶ」って言われて。当時からそういう理論のもとやっていて、サラッと言いのけて、今じゃメジャートップのスイングスピード、打球速度。そこを体現していることは、すごいのひと言ですよ。

その大谷ら、メジャー組が再び侍ジャパンのユニホームを着るために、今から準備を進める。特に4年後のロサンゼルス五輪はシーズン真っ最中。3年前の東京五輪では、現役メジャー選手はいなかった。だから視察のもう1つの目的は、MLBの動向に注視すること。メジャー組の出場が可能となった場合、ベストメンバーで世界一を目指すためだ。

井端監督 ロスでやるから(メジャー組参戦の)可能性はなきにしもあらずかなと。NPB側も意思だけは聞いておけば、動きやすい。次のロス五輪で、MLBがもし出るってなったときに、差し込まれることだけは避けたい。

長期的視野に立った上で、日本が世界の頂点であり続けるため、今やるべきことは何なのか-。その思考は昨年11月、初陣となった「アジアプロ野球チャンピオンシップ」でも同じだった。次世代を担う選手を選び阪神森下、日本ハム万波らの台頭を促した。今年11月には、連覇がかかる「プレミア12」に臨む。侍ジャパンはここまで国際大会19連勝中で、5大会連続優勝中。その流れをWBC、五輪へとつなげていく。そのために24年の漢字は「結」を選んだ。

井端監督 「結」束も、「結」果も大事にしないといけない。選手を試して、経験を積むというところでは、ぶれずに結果を求めてやっていきたい。

辰(たつ)年はいつも人生の節目だった。プロ3年目だった00年、戦力外を覚悟したシーズン前、中日にディンゴ(現オーストラリア代表ニルソン監督)が加入。守備固めが必要で、外野経験がないにも関わらず、当時の星野監督に「やったことあります」と“うそも方便”。出場機会をつかんでレギュラー獲得のきっかけにした。12年はコンバートされた二塁から遊撃に再転向。目の不調から脱するため、意識を関節や筋肉の動きまで細分化、そして言語化し37歳にしてゴールデングラブ賞を獲得。24年はどんな1年にするか。

井端監督 00年は野球選手として非常にターニングポイントになった年だった。1年でガラッと変わった。12年はすごく勉強した年で、指導者としてのちに生きた1年だった。24年は、その先のWBC、オリンピックを見据えてやっていかないといけない。連勝も続いている。結果を出している侍ジャパンを継続して、今年もプレミア12を勝ちにいきたいなと思います。