屈辱の地から虎の守護神へ-。阪神ドラフト2位の椎葉剛投手(21=四国IL徳島)が4日、三重・伊賀市のミキハウススポーツスタジアムで自主トレを公開した。3年間所属した社会人ミキハウスでは戦力外通告を受け、悔しさをバネに直球を磨き、最速159キロ右腕としてプロ入り。その第1歩に選んだのが古巣のグラウンドだった。今年の漢字には自らのサインと同じ「剛」を掲げ、強心臓で新守護神に名乗りを上げる。

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かつて苦汁をなめた坂道を、椎葉はさっそうと駆け上がった。自主トレ先に選んだのはかつての所属先。この地での一番の思い出を問われると「クビにされたことです」と答えた。島原中央(長崎)を卒業後、ミキハウスに入団。だが、故障などで1試合の登板に終わり、3年で戦力外通告。昨季四国IL徳島に加入し、本格的なウエートトレーニングに励むと、9月下旬には159キロを計測。同球団最高の2位指名を勝ち取った。

3年間を振り返り「社会人として成長できたかなと思います。高校生の時は、ろくに先輩にも敬語を使ってなかったですけど、社会の厳しさを味わった場所です」。当時毎日のようにダッシュした約70メートルの上り坂には、報道陣から多くのカメラが向けられた。悔しさをバネに1年でプロ入りをかなえた証しだ。「ここでの3年間、悔しい思いをして、いろんな思いがあって徳島に行って、いい形で戻って来られた。ここがあっての今だと思う」。この日はキャッチボールやウエートトレーニングなどで約2時間汗を流した。

持ち前の強心臓で1年目から日本一の救援陣に割って入る。すでに2月の春季キャンプ1軍スタートが内定。入団会見では「絶対的守護神」を目標に掲げた右腕に新たな“相棒”も加わった。「最初はタイガースカラーを作りたい」とグラブを黄色と黒に新調。黄色を取り入れるのは自身初だという。筋金入りの虎党が甲子園で腕を振る準備はできている。

年末年始は地元の大阪・堺市で過ごし、決意を新たにした。「『応援しているよ』といろんな方に言っていただいたので、しっかりと結果を出して恩返しをしたい」。屈辱の地から踏み締めたプロの第1歩。「まずはケガがないことを目標にして、開幕を目指せたらいいなと思っている」。反骨の右腕がリーグ連覇の貴重なピースになる。【村松万里子】

◆椎葉剛(しいば・つよし)

◆生年月日 2002年(平14)3月18日生まれ、大阪・堺市出身

◆球歴 三原台小1年から高倉台ポニーズで野球を始める。三原台中では富田林ボーイズに所属。島原中央(長崎)では3年春まで捕手だった。20年からミキハウスに3年間所属し、昨季は四国IL・徳島。最速159キロ。

◆趣味 釣り

◆好きな芸能人 今田美桜

◆座右の銘 猪突(ちょとつ)猛進、思いやり

◆目標とする選手 藤川球児

◆サイズ 183センチ、95キロ。右投げ右打ち。

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