伸びしろしかない! 阪神ドラフト1位の下村海翔投手(21=青学大)が「三笘の走り」を伝授された。15日、兵庫・西宮市の鳴尾浜で行われている新人合同自主トレに、元陸上110メートル障害五輪代表で陸上コーチとして活躍、サッカー日本代表の三笘薫(26)や久保建英(22)らも指導した谷川聡(さとる)氏(51=筑波大准教授)がランニングコーチとして招かれた。

下村は意外な指摘を喜んでいた。「衝撃でした」。脚力はアマ屈指といわれたが大きな改善の余地があった。下半身のバネを測る垂直ジャンプで、新人トップを記録。だが谷川氏から「全然バネを(走りに)生かせていない」と指摘された。投手ながら「走」への意識が高く、大学時代は陸上選手の動画を見るなど研究を繰り返してきた。専門家からの「こわばって走っている。バネを最大限に使うのを怖がっているのでは?」という指摘に驚いた。

正しいフォームを追求するメニューは多岐にわたった。足を意識せず、腹周辺の筋肉を使って走ること。それを意識するために大きなボールを持って走ったりと、1時間40分みっちりと「走り」と向き合った。

「めちゃくちゃ楽しかった。まだまだ伸びるんじゃないかという自分への期待というか。自分の持っている力を最大限出すというところは、投げるのも走るのも同じ。投球でも、まだ使え切れていない力があるんじゃないかと」

同氏は現役時代、通算224勝の工藤公康氏ともトレーニングをともにし、そのメソッドを続けた工藤氏は48歳までプレーした。正しく走れれば、高いパフォーマンスや長い現役生活につながる。下村は教えを自主的に継続するつもり。「バネやスピードはすごく大事。そこがまだまだ伸びるのが分かった。伸びしろがたくさんあると思っています」。貴重な経験は1ミリたりとも無駄にしない。【柏原誠】

◆谷川聡(たにがわ・さとる)1972年(昭47)7月5日生まれ、東京都出身。小学生から野球をプレー。八王子東高を経て進んだ中大で陸上選手として活躍。00年シドニー、04年アテネ五輪の110メートル障害日本代表。アテネ五輪1次予選で13秒39の日本新記録。16年に筑波大陸上部監督に就任。サッカーでは三笘薫、久保建英のほか元日本代表の香川真司、原口元気らも指導。筑波大人間総合科学研究科の准教授。

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