強烈パワーで外野を奪うぞ! 育成出身2年目の阪神野口恭佑外野手(23)が、外野の定位置取りを猛アピールした。春季沖縄・宜野座キャンプ第1クール2日目の2日。特打で166スイングし、5連発&130メートル弾を含む26本の柵越えで虎党の度肝を抜いた。岡田彰布監督(66)は弾道を「天性」とたたえ「ポジション取れる可能性ある」と絶賛。森下やノイジーらと争う両翼バトルを勝ち抜ける存在と目を細めた。

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夕暮れの宜野座で、虎党は何度も空を見上げた。曇天を切り裂くように白球が勢いよく舞い、どよめきが起こり続けた。野口が右打席から繰り出した全体練習後の特打。166振し、26本の柵越えを放り込んだ。

「いいポイントで打てて、レフト線への打球も切れなかった。真っすぐ、きれいな打球を打つことができました」

圧巻は特打の前半、打撃投手を打ち込んだ場面だ。69振で左方向を中心に、3分の1の23本をスタンドインさせた。5連発もあった。最長飛距離は推定130メートル。野球を始めた幼少期からマスコットバットを振り続け、身につけた怪力を披露した。「最初は軽く構えて、打つ時はドーン! という感じ」。イメージ通りのアーチショーだった。

岡田監督も絶賛した。「遠くに飛ばす、それは教えるもんじゃない。持って生まれた、天性のもんやろな」。バットの軌道を分析し「線で打たんと、あんな上がらへんわ。運んでるイメージが強いよな」とアーチストの素質を感じ取った。野口も「ラインは大事にしている」と胸を張った。

昨秋の高知・安芸キャンプで岡田監督の目に止まり、支配下契約を勝ち取った若武者が一冬越してさらに進化。外野のレギュラー争いに割って入る可能性が出てきた。昨季は中堅近本を中心に、主に右翼森下、左翼ノイジーで日本一を勝ち取った。だが現在、両翼は白紙とする指揮官は「なかなかええ勝負できんちゃう?」とにんまり。「練習試合とかあるから。そらいい結果出たらポジション取れる可能性があるわけやんか。そういうやつが出てこんとチームが活性化しないよな」と目を細める。昨年まで背番号3桁だった男が、キャンプ序盤でこの評価だ。

だが本人は冷静だった。「いくら練習で打っても実戦で打てなかったら意味がない」。まずは第3クールの11、12日に予定されている紅白戦がアピールの舞台となる。「日本一のチームの選手たちとプレーできるので日々勉強。負けないように、必死に食らいついていきたい」。投の新鮮力が門別なら、打の一番手は野口か。キャンプの見どころがまた増えた。【中野椋】

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