育成契約の日本ハム藤田大清外野手(19)が待望の実戦デビューを果たした。20日、韓国サムスンとの2軍練習試合(名護)に「8番DH」で出場。2回の“プロ初打席”は空振り三振だったが、高卒2年目でようやく試合の打席に立つことができた。昨季は腰痛に苦しみ、リハビリと体力づくりで1年を終えた。強打が魅力の金の卵が、ようやく支配下選手登録を目指すスタートラインに立った。

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藤田にとって、576日ぶりに見た景色だった。2回先頭で打席に入った。これが、プロ2年目にして実戦初打席。試合に出場するのは花咲徳栄3年夏の埼玉大会準決勝で敗れた22年7月24日以来だった。もちろん、緊張した。「もう、打ったらどっちに走っていいのかわかんない、みたいな(笑い)」と振り返るほど、試合でしか味わえない感覚を徐々に思い出しながら、バットを構えた。

初球はストライクだったが、見逃した。「初球の真っすぐは絶対にいこうと思っていたんすけど、久しぶりだったから手が出なくて…」。2球目の直球は手を出したがファウルに。3球目の変化球は見極めてカウント1ー2からの4球目。大きく割れるカーブにバットは空を切った。空振り三振。「そこ(初球打ち)をいけていたら、結果が変わったんじゃないかなと思います」。次への課題を手にしたデビュー戦となった。

1年目は高校時代から抱えていた腰痛に苦しんだ。「ケガは高2の冬から。高校の時は(痛み止めの)注射を打って、むりやりやっていました」。プロ入り後は一進一退の腰の状態を見ながら、体づくりや技術練習に取り組む日々。試合出場までは至らなかった。

今春キャンプは国頭できっちり練習をこなし、目指していたこの日の2軍練習試合にたどり着いた。「今日は結果が良くても悪くても打席に立てたから、去年より成長してると思う」。ようやく、競争のスタートラインに立った。もっと肉体を万全にし、実戦で経験を積みながら、長打力とバットコントロールに定評がある打撃力を伸ばし、今季は本格的に支配下昇格を目指す。【木下大輔】

◆藤田大清(ふじた・たいせい)2004年(平16)8月23日生まれ、東京都練馬区出身。花咲徳栄では3年春の埼玉県大会で満塁弾を放つなど高校通算11本塁打。同年夏は県大会準決勝で敗れ、甲子園出場なし。22年育成ドラフト1位で日本ハム入団。父勉さんは「やまびこ打線」で知られる池田で主将として甲子園に出場。187センチ、84キロ。右投げ左打ち。