西武ドラフト1位の武内夏暉投手(22=国学院大)が、開幕ローテーション入りへ大きく前進した。

中日とのオープン戦(ベルーナドーム)に初登板初先発し、4回を1安打無失点5奪三振と好投。2回無死三塁では3者連続三振で度肝を抜き、巧みなけん制で2度走者を刺した。自己最速タイの154キロも計測。ベテラン炭谷のリードにも導かれながら、多彩な変化球も交え、スケールの大きさとともに完成度の高さも証明した。

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最大のピンチを自身のアピールの場に変えた。0-0の2回、武内は先頭の細川を2球で追い込みながら、内角を狙った152キロの速球が甘く入った。この日唯一の安打となる右中間を破る三塁打を浴びたが、むしろ「武内夏暉」の真骨頂を発揮するには最高の舞台だった。

武内 2ストライクからの失投だったので、追い込んでからの失投をなくそうと思って、次のバッターに向かって投げた。

切り替えの早さと修正能力の高さは、さすがのドラ1だった。石川昂を速球2球で追い込んだ後、誘い球で2球ボールを挟み、外角低めに沈むツーシームで空振り三振。高橋周はカウント2-2からチェンジアップ、鵜飼は2ストライクから自己最速タイの154キロの速球で空を切らせた。

2月28日のソフトバンクとの練習試合以来の実戦マウンドで、オープン戦は初登板。ピンチを背負っても、焦るどころか、冷静に気持ちを整理し、豊田投手コーチの助言を思い返した。「ギアの上げ方は豊田さんにもずっと言われていたので、そこは上げられた」。出力を上げながら、制球ミスもなかった。

フォームの微調整も結果に表れた。元々、股関節が硬いタイプだったが、プロ入り後に下半身のストレッチを30分×3セットを日課とし、柔軟性が向上。「今までは上半身中心で投げてるなというのがあって、下半身主体で投げることを意識して、いい感じに投げられた」と進化を示した。

巧みな一塁けん制も2度披露して走者を刺し「うまかったね」と松井監督をうならせた。「大学の時から得意でした」と胸を張りながら「サインを出してくれた炭谷さんのおかげです」と感謝も忘れなかった。67球で降板後にはブルペンで17球×2セットの投球練習。「長い回を見据えて多く投げた」とシーズンを視野に入れ、準備を進めた。【久保賢吾】

◆西武開幕ローテーション事情 開幕投手が有力視される今井を始め、平良、隅田、松本は当確。ルーキーの武内はこのまま順調に調整が進めば有力だ。昨年まで3年連続開幕投手を務めた高橋は右肩の張りで調整が遅れ、6枚目には先発転向のボー、与座が候補に挙がる。

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