剛腕が、ついによみがえった。日本ハム石川直也投手(27)が広島とのオープン戦(エスコンフィールド)の8回に4番手で登板し、3者連続で空振り三振を奪った。20年8月に右肘のトミー・ジョン手術を受けて以降、なかなか球速が戻らずに苦しんでいた最速156キロ右腕だが、この日は久々に151キロをマーク。昨季の開幕守護神が堂々たる投球で、完全復活ののろしを上げた。

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打たれそうな気配がなかった。8回に登板した石川が圧巻の3者連続空振り三振を奪った。高いリリースポイントから投げ下ろすフォーク、ナックルカーブがウイニングショット。そして、同じ高さから角度抜群の真っすぐが、うなった。この日の最速は151キロ。20年8月のトミー・ジョン手術後に150キロ超えは「久々ですね。150キロは1回あったけど」と最速を更新した。

故障明けは、なかなか球速が戻らなかった中で試行錯誤してきた投球フォームが、ついにバチッとハマった。「左足を上げるスピードだけ速めた感じですね」。4日にエスコンフィールドで行われた全体練習で、建山投手コーチと話したことが新フォームに取り組んだきっかけ。感覚が良かったため、7日の西武とのオープン戦(鎌ケ谷)から「ぶっつけ本番で」で試投。1回無安打無失点と少し手応えをつかんだ。

9日の楽天とのオープン戦(静岡)は1回3安打2失点(自責1)と乱れていた。理由は「全部が早くなりすぎていて、バランスが良くなかった」。左足を上げるスピードだけでなく、体重移動も何もかもが速くなり威力のあるボールを投げられなかった。その反省を踏まえて修正したフォームでフォークも「130キロ後半(138キロ)が出ていた。ここ数年、130キロ中盤だったので」と相乗効果が見られた。

新庄監督も「良かった…良かった。なかなかあのフォークは打てないですよ」と絶賛。「もう1回、今日みたいなピッチングをしてもらえたら、安心感がすごい出てくる」と継続を求めた。それは石川本人も分かっている。「あとは、これ(新フォーム)をつかむだけ」。開幕まで、あと約2週間。手応え十分のフォームを固め、信頼もつかみ取る。【木下大輔】

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