巨人門脇誠内野手(23)が、大きな殻を打ち破った。日本ハムとのオープン戦で1回の第1打席で右前へ22打席ぶりの安打を放つと、直後に2点適時打。さらに9回に左翼線二塁打をマークし、猛打賞を記録した。沖縄・那覇キャンプ後の3月に入って、台湾、大阪、九州、北海道と遠征が続く中、内野安打1本にとどまっていたバットが、一気に解放。遊撃のレギュラーとして2年目のジンクスを乗り越える。

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日本列島をまたにかけ、長いトンネルを抜けたのは、北の大地だった。巨人門脇の1回の第1打席。追い込まれてから2球ファウルで粘ると、外角のチェンジアップに泳がされながら運んだ打球はエスコンフィールドの右前で弾んだ。オープン戦22打席ぶりの安打。「今日もちゃんといつも通りやるべきことをしっかり準備して1打席目ヒットが出たんで、ちょっと楽になったと思います」。一息つく間もなく連打が生まれた。

2回の第2打席では左へ打ち分け2点適時打。9回には左翼線二塁打で長打も出た。生みの苦しみを乗り越えると、待っていたのは2打点含む3安打猛打賞。3月に入って内野安打1本で、外野へ飛ばしたのは那覇キャンプ中の2月27日練習試合日本ハム戦以来だ。台湾遠征でも、鹿児島、福岡と続いたソフトバンク戦でも凡打続き。次第に腰が逃げるような打撃フォームになり、阿部監督から「しっかり下半身を使えるように」と助言を受けて結果に結び付けた。

快音から遠ざかっていた間、阿部監督の言葉が耳に入った。「命まではとられないから」「結果が出なくても上位で使う」。ジョークを飛ばしつつ遊撃のレギュラーとして寄せられた厚い信頼。それでも「2年目で結果出てなくて、2軍で結果出している人もいる。でも自分でつかみ取った立場なんで強気にいってます」。自責の念と、1年目の昨季、遊撃のレギュラーを奪取したプライドが入り交じり、もがいていた。

2月から続く遠征を終え、開幕まで残すは東京ドームでの5試合だけ。「焦りも、いろんな感情もプレーしながらあった。シーズンに入ってから、こういう時に、こういう風に思えばいいっていうのを1つ見つけられた」。ピンチをチャンスに変え、大きくなってホームに帰る。【栗田成芳】