最後は意地で踏ん張った。阪神才木浩人投手(25)がメモリアルゲームで、44日ぶりの白星を手にした。4点リードの7回無死満塁。投じる1球1球に、今季最多の4万6831人が駆けつけたスタンドから拍手が起こった。

「すごかった。なかなか甲子園で拍手もらうことないんですけど。すごく大きい拍手をもらったので」

大歓声の後押しを受けながら、9番若林を137キロフォークで見逃し三振。この日2安打の丸を迎えて降板したが、球場からは再び大歓声でたたえられた。7回途中3安打1失点(自責点0)で6月16日ソフトバンク戦以来となる自己最多9勝目。前回登板で投げ負けた山崎伊にリベンジを果たし、再びセ・リーグのハーラートップに並んだ。

「前回負けているのでなんとか勝ちたいと思っていましたし。結果として勝てたので良かった」

甲子園100周年メモリアルシリーズの初戦。才木自身、神戸市出身で幼少期の頃から甲子園には何度も阪神戦の観戦に訪れた。少年野球の頃は捕手を務めていたこともあり、当時正捕手だった城島健司のファン。だが少年時代の思い出を今振り返ると、真っ先に頭に浮かんだのは先輩左腕の背中だった。

「(甲子園に)見に行った時、能見さんが先発とかしていたのは見ましたね」

中3の冬に参加した野球教室で指導を受けたのが能見だった。「フォームがきれい」と見初められ、深く思い出に残っている。あれから約11年。巨人キラーとして知られた先輩のように、甲子園での伝統の一戦を勝ちきった。

プロ初のマルチ安打も記録。七夕の球団企画では「ホームランを打てますように!」と願いをしたためていた中、うれしい今季初安打だ。「村上が『全然ヒット打たへん』といじってきてたので。明日言ってやります」と笑顔で宣言。投打の躍動で、チームを5連勝に導いた。【波部俊之介】

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