失われた記憶を取り戻せ!

 阪神今岡誠内野手(34)の「再生プロジェクト」が1日のキャンプインと同時に始まった。ロングティーの練習時に、和田打撃コーチとオマリー駐米スカウトが熱心にアドバイスを送る。実は光景自体が秘策の1つだった。03年に、両者の指導で初のタイトルとなる首位打者を獲得。「当時が1番いい打撃をしていた。それに近づけるために、工夫していく。イメージを取り戻すのが、早道になる」と和田コーチは言う。03年の雰囲気を再現し、ブレーク時の形を思い出してもらうのが狙いだ。

 この日、今岡はフリー打撃で1本もサク越えの打球を打たなかった。昨年はフルスイングで長打を連発していたが、正反対の姿だった。「3割を打っているときの練習法でね。最近はやっていなかったので。いい機会なので、率を高めていく」。オマリー駐米スカウトのアドバイスはシンプルだった。「左肩を開かず、センター中心でスイングする。もともとパワーがあるから、ホームランはついてくる。正しいスイングで振っていこう」。03年の打率3割4分は自身最高の数字。派手さはない。地道にバットを振ることで、当時の記憶をたぐりよせようとした。

 真弓監督も今岡の打撃練習をじっと見つめ、大きくうなずいた。「気になることはない。毎年、考えすぎて、自分を扱いすぎて、悪くなったというのはある。今のままでいけばいい」。記憶再生が始めの一歩。「こういうやり方をしていく、というのは確立した」。今岡の表情に迷いはなかった。【田口真一郎】

 [2009年2月2日11時15分

 紙面から]ソーシャルブックマーク