阪神新井貴浩内野手(32)が復調を印象づける驚きの場外弾をぶちかました。8日に特打を行い、105スイングで24本の柵越え打を放った。左翼後方のネットを越す推定150メートルの特大弾もあり、昨年疲労骨折した腰の不安を一掃した。長打力を期待する真弓監督の5番構想に一発回答してみせた。

 アーチのたびに喜んでいたファンが、次第に拍手をやめた。それだけ新井の「大花火ショー」はキリがなかった。お昼時のランチ特打に登場すると、最初からエンジン全開だった。「けっこう強く振った」。フェンスを越える放物線の数は実に24本。2度の3連発、バックスクリーン下にも3発見舞った。圧巻は特大の場外弾だ。左翼後方に舞い上がった打球は高さ8メートルの防球ネットを越えた。04年のキンケード、桜井以来となる推定150メートルの弾道だった。

 昨年のシーズン終盤に、腰の疲労骨折でチームを離脱。キャンプインでも不安説は消えなかった。第1クールでは首脳陣の要請で動きをセーブしていたが、解禁と同時に大爆発。「まあまあです。今できることをやっている。バットをいろいろ試しながら、腰の状態を試しながら…」と平然と振り返った。

 真弓監督の5番構想にもきっちりと回答を出した。昨年の3番から金本の後ろを任される。求められるのは、本塁打の量産だ。同監督も自然と目尻が下がった。「ああやって、コンコン打ってくれると、楽しい。日曜日の大サービスです。周りは腰を心配しているけど、それを吹き飛ばそうと思って、振っているんじゃないか」と手応えを感じたのは確かだ。

 この日は新外国人ケビン・メンチ外野手(31=ブルージェイズ)も24本の柵越え。昨季は8本に終わった05年本塁打王の新井が復調し、09年の新打線は大きな可能性を秘めている。【田口真一郎】

 [2009年2月9日9時4分

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