<ソフトバンク13-2オリックス>◇6月30日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク大隣憲司投手(24)が約1カ月ぶりの勝利で復活した。オリックス打線を今季最長8回、6安打1失点に抑え、3勝目。6月2日に車の運転中に接触事故に巻き込まれ、左手小指を負傷。先発ローテから外れ、5月30日中日戦以来の先発マウンドだった。チームに迷惑をかけた思いからお立ち台は一変、“謝罪会見”となった。

 「自分の不注意でこういうことになり申し訳なかった。再スタートといい方にとらえ、もう1回頑張ろうと吹っ切れて投げました」。

 その思いを今季最多126球の1球ずつに込めた。先発した過去8試合のうち6試合で3回までに失点したが、この日は3回まで3人ずつ料理。うち8人から初球ストライクを奪った。フェルナンデスや下山が直球に振り遅れ、球が切れていた。秋山監督も「立ち上がりが良かった。いいスタートを切ったのが大きかった。大隣の投球で攻撃陣も波に乗ったね」と、猛攻を誘発する好投だと認めた。

 昨年チーム勝ち頭(11勝)で今季もローテの軸と期待されたが、左肩裏の筋肉の硬さに悩んだ。「ガンガン投げても球がいかない。精神的につらい」。マウンドで自信を持てず、手先でごまかす投球から5月にはリーグ最多タイの1試合5被弾という屈辱も味わった。その直後の交通事故が皮肉にもプラスに作用した。

 「こんなこと言うと駄目なんですけど、事故で(2軍に)落ちていい方へ向いた」。肩の疲労もなくなり、精神的にもリフレッシュできた。

 「戦列を離れた今までの分を頑張りたい」。ブランクを埋める今季本拠地初勝利だ。【押谷謙爾】

 [2009年7月1日9時20分

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