<中日2-1ヤクルト>◇7日◇ナゴヤドーム

 39歳のベテランの読みが、中日に今季4度目のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。1-1で迎えた9回2死満塁、谷繁元信捕手がヤクルト押本の外角速球を右前にはじき返した。「ライトから一塁へ投げられたらどうしようと思って、必死で走った」。一塁を踏んで喜びを爆発させると、ベンチを飛び出した仲間たちが次々に飛びかかった。

 谷繁自身、今季2度目、通算11度目のサヨナラ打は阪神矢野と並んで現役では2位タイとなった。9回2死二、三塁、谷繁の前の打者・英智は死球を受けて満塁となった。「逆(の立場)で考えれば前の打者に死球で、次に当てたら終わり。インコースはそうはないだろうと思っていた」。内角球は投げにくいという相手バッテリーの心理を見透かし、外角球を狙い打った。

 接戦を制した落合監督も冷静に駆け引きした谷繁をたたえた。「あの死球が1番大きかったんじゃないか。満塁でインサイド投げられない。それをきっちり読み切った谷繁の勝ちよ。こっちしかないという読み。まあ、それができなければ、何年も(現役で)やっていないんだろうけどな」。歴代8位、現役では最多の2453試合出場の経験が土壇場で光った。【鈴木忠平】

 [2010年5月8日8時13分

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