借金16で単独最下位のヤクルトは20日、都内のホテルで鈴木正球団社長らが高田繁監督(64)と会談し、引き続き指揮を任せる方針を伝えた。鈴木球団社長は現時点の監督交代はないとし、3年契約の最終年の任期を「全うしてほしい」と話した。球団側は外国人選手の獲得やトレードなどで現場をバックアップする考えだが、高田監督は低迷の責任を痛感して悩んでいるという。今後の成績次第では「休養」などに追い込まれる可能性も出てきた。

 シーズン序盤としては異例の緊急会談だった。都内のホテルで球団側から鈴木社長、大木勝年常務取締役と編成部の渡辺進部長が出席。昼食を兼ねた会談は約2時間に及んだ。午前中に東新橋の球団事務所で役員会を開き、高田監督に引き続き指揮を任せると確認。鈴木社長によると、会談の席でその方針を伝えられた同監督は「頑張ってまいります」と答えたという。

 リーグワーストの2割3分6厘と打撃の不振が響き、13勝29敗1分けの最下位。監督交代となっても不思議ではない成績だが、会談後、球団事務所で鈴木社長は「ヤクルトグループはリストラはしないのが企業体質、企業姿勢。それが大事なポリシー。(任期を)全うしてほしい」。外国人補強やトレードで現場を支援していく考えを示した。

 交流戦6連敗と負けが続き、球団側は高田監督の心中を案じて会談を設定したという。しかし、この時期に、引き続き指揮を任せると伝えること自体が異例だ。球団側の意向を受けて“続投”する同監督だが、鈴木社長によると「責任を感じ、大変悩んでいる」という。09年は後半戦に失速し、クライマックスシリーズ進出を逃した場合は辞任する意向を持っていたとされる。球団内では“続投”への異論や体調を不安視する声もある。今後、さらに黒星を重ねた場合について、大木取締役は「現段階で仮の話はできない」。成績次第ではシーズン中の「休養」などの可能性もある。

 鈴木社長は「勢いがつけば、クライマックスシリーズも不可能ではない。上昇気流に乗ると信じている」と期待するが、挽回(ばんかい)は容易ではない。

 [2010年5月21日8時42分

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