広島一筋22年目のベテラン前田智徳外野手(39)が15日、宮崎・日南での1軍2次キャンプに合流した。これまで2軍で調整していたが、1軍合流で即ランチ特打に参加し、97スイングで安打性44本と順調な仕上がりを見せつけた。代打の切り札は今季も健在だ。

 不惑の年を迎えても、前田智のバットには寸分の狂いもなかった。小気味いい音を立てて打球が左右にはじき返される。柵越えこそなかったが、打ち損じもほとんどない。助っ人ジオから8スイングで5本、打撃投手からは89スイングで39本、合計97スイングで安打性の打球44本を飛ばした。

 これまで2軍で調整してきたが、予定通り1軍に合流。石井と並んでのランチ特打ではいきなり快打を連発、存在感を見せつけた。

 前田智は「私は何もしていませんから」とだけ話したが、投げた井上打撃投手は「思い切り振っていたし、今日は良かったんじゃないですか」と仕上がりに目を見張った。前田智と89年同期入団の浅井打撃コーチも「実戦モードになっている。彼は(体が)元気なら大丈夫ですよ」と話した。

 昨季は主に代打の切り札として68試合に出場。だが数字は打率2割2分1厘、2本塁打、19打点に終わった。それでも4月16日の中日戦(マツダ)で代打サヨナラ打を放つなど、勝負強い打撃でチームを支えた。

 だが、ここぞの場面で送り出されて勝負を決める一打を放っても、代打の快感は「ない」という。昨年の契約更改では「そこ(代打)でなんとかチームに貢献しないと(自分に)残された道がない。代打が難しいとか考えている場合じゃないんです」と話している。

 野村監督はこの2次キャンプでより実戦を増やし、開幕1軍メンバー入りの競争を激化させるつもりだ。前田智については、ベテランの発奮ぶりを歓迎した。「自分のペースがあるだろうし、日南から合流するように言っていた。これからは実戦の中で結果を出してほしい。でも、いい仕上がりじゃないかと思う」。天才打者が22年目も広島の切り札になる。【高垣誠】

 [2011年2月16日10時12分

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