<ロッテ2-6楽天>◇17日◇QVCマリン

 楽天の新3、4番コンビが、前半戦の貯金ターンを確定させる大暴れを演じた。今季2度目の3番に入った銀次内野手(24)が1回の先制2号ソロを含む3安打。4番枡田慎太郎内野手(25)は9回に同点の右犠飛、2点リードの10回にもダメ押しの2点適時打を放ち貴重な3打点を挙げた。2人合わせて1380万円の格安コンビで首位ロッテを圧倒。今季40勝目で再び2・5ゲーム差まで詰め寄り、後半戦早々の首位どりがはっきりと視界に入ってきた。

 鮮やかな逆転勝利を収めた大久保打撃コーチは、何度となく首をひねりながらうなり声を上げるばかりだった。「監督にしかあのオーダーは組めない。俺もやってみたいけど、俺にはやる勇気がない」。その勝負度胸に感心しきりだった。銀次が今季2度目の3番を務め、4番には枡田。銀次720万、枡田660万で合計しても1380万円にしかならない2人に、星野監督はチームの命運を託した。大きな勝利をたぐり寄せたのは、その超格安コンビだった。

 銀次が先陣を切った。1回2死走者なし。2ボールからの3球目、ロッテ小野のカットボールを右翼席まで運んだ。先制2号ソロに「カウント2-0だったので、積極的に思いっきり振っていきました」と納得の表情を見せた。「打順はまったく意識していない。意識したら打てなくなる」と3番の重責にも気負わず、自分のスイングで試合の流れをたぐり寄せた。

 枡田も負けじと粘りを発揮した。3打席目までは凡退したが1点を追う9回に奮起。1死一塁から代走島内が敵失の間に三塁を陥れると、すかさず右犠飛を打ち上げて同点の走者を迎え入れた。きっちりと役目を果たし「とにかく外野フライ。ランナーをかえせる当たりを打とうと思ったし、前に飛ばせば何とかなると思った」とほっとした表情を見せた。2点を勝ち越した10回にも、右前への2点適時打でとどめを刺し「チームの勢いで打たせてもらいました」と胸を張った。

 クリーンアップの年俸は5番ハーパーの1500万を加えても3000万円にすら届かない。ロッテは角中1000万、井口が1億8000万。西武なら中島2億8000万、中村2億5000万と3、4番の合計だけでゆうに5億円を超える。星野監督は「金の話はするな。これから活躍していくんだ」とくぎを刺しながらも「いろいろ勉強したらええ」と抜群のコストパフォーマンスを誇る新コンビにエールを惜しまなかった。

 快勝で貯金3を積み上げ、貯金ターンを確定させて向かうは18日の球宴前最終戦。同学年の2人にとっては枡田25歳、銀次が早生まれの24歳という若さも強力な武器となる。梅雨が明けてもうすぐ暑い夏がやってくるだけに、格安コンビの快進撃はまだまだ終わりそうにない。【大塚仁】