<日本ハム4-8西武>◇30日◇札幌ドーム

 遅れてきたルーキーが、チームの借金危機を救った。西武ドラフト1位の増田達至投手(25)が、プロ初勝利を挙げた。同点の7回2死一、二塁で登板。小谷野を投ゴロに抑え、直後の8回にチームが勝ち越し、初白星を手に入れた。「自分の勝ちよりも、チームが勝てたことが一番です」と連敗を3で止めたことを喜んだ。

 “守護神候補”で入団も、調整の遅れから開幕を2軍で迎えた。春先には左脇腹を痛めた。開幕後、巨人菅野やヤクルト小川ら、プロの同期が勝ち星を重ねた。華々しくスタートを切ったライバルとは対照的に、自身は西武ドームに隣接する第2球場でリハビリ。キャンプからマイペースを貫いてきた男も「焦りがあった」と苦しんだ。

 どん底から再起して闘争本能にスイッチが入った。プロ初登板の6月13日の中日戦後、最速152キロの直球が常時140キロ台前半にとどまった投球内容に、怒りを交えながら話した。「真っすぐを評価してもらって入ったのに、こんなボールじゃダメです。社会人の時の映像を取り寄せて、しっかり修正します」。この日、勝負球に選んだ145キロの直球に、成果の跡を示した。

 ウイニングボールは、リハビリを支えてくれた妻麻友さん(24)にプレゼントする。「つらい時に支えてくれた。ありがとう、とメールを送りたいです」。不安定だったリリーフ陣に、新たなピースが加わった。【久保賢吾】

 ◆増田達至(ますだ・たつし)1988年(昭63)4月23日、兵庫県生まれ。柳学園(兵庫)では甲子園出場経験なし。福井工大4年春にベストナイン。NTT西日本では1年目の春から公式戦に登板。最速152キロの直球を武器に、主に抑えを務めた。昨年のドラフトで西武から1位指名を受け、クリスマスの12月25日に婚姻届を提出した。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。推定年俸1500万円。