<楽天2-5日本ハム>◇22日◇Kスタ宮城

 主砲の穴を全員でカバーした。日本ハムが初回の猛攻で首位楽天相手に同一カード3連勝だ。1回1死一、二塁から左手骨折の中田に代わって4番に入ったアブレイユの中前適時打で先制。1点を追加後、赤田が移籍後初アーチの1号3ランを放ち、一挙5点を奪って試合を決めた。新打線が機能し、中田不在の危機をひとまずは乗り切った。

 初回から、日本ハムナインの気持ちがつながった。中田不在の初戦。代役で4番を務めたアブレイユの先制適時打など4安打を集めて一挙5点。一気の速攻劇で試合を決めた。栗山英樹監督(52)も「翔がいない分、なんとかという気持ちが出ていた」と選手をたたえた。首位楽天相手に、狙い通りの3タテを食らわした。

 栗山監督が勝負に出た。1番に打撃のいい捕手登録の高卒2年目、近藤健介(20)を抜てき。横浜高時代も主に捕手や内野しか経験のない成長株を、プロ初の右翼で起用した。試合前練習では、右翼で守備練習する近藤をじっと見守った。「オレは外野手だった。守備には感覚があるから」と動きを見て、起用を決断した。

 「みんなにダメと言われた」と周囲の反対もあったが、押し切った。ぶっつけ本番を不安視する声に「それでもいいから行かせて下さい」と頭を下げ、禁じ手を実行。中田が抜けたクリーンアップに陽岱鋼を入れるための苦肉の策でもあった。近藤に守備機会はなく、無安打に終わったが2度出塁。期待に応えた。

 みんなが、中田のためにと必死だった。前夜の試合後、Kスタ宮城の選手ロッカーに全員が集合。最年長の稲葉が訴えた。「1人1人が強い気持ちを持ってやらないといけない」と、引き締めた。さらに宿舎へ戻ると、稲葉らが中田を食事に誘って励ました。

 各自が士気を高めて臨んだ1戦で快勝。栗山監督も「ベンチからも声が出ていた」と、チーム一丸の勝利に満足そうだった。【木下大輔】