<フェニックスリーグ:日本ハム2-14オリックス>◇10日◇アイビー

 右肩関節唇損傷からの完全復活を目指す日本ハム斎藤佑樹投手(25)が先発し、5回1/3を10安打11失点(自責点7)と大乱調で降板した。味方の失策が相次いでリズムを崩し、単調な攻めになったところを痛打された。珍しく、報道陣の前でもいらだちを隠せなかったが、視察した栗山英樹監督(52)は、闘争心むき出しでカッカする姿に「そういう斎藤を久しぶりに見た。前に進んでいる」と好意的にとらえた。

 優等生イメージの強かった斎藤から、男性ホルモンがあふれ出た!?

 今月2日の1軍復帰後、最初のマウンドで、斎藤は荒れた。予定の6回を持たず、5回1/3で降板。自己ワースト11失点(自責点7)と打ち込まれ、イライラを募らせた。

 斎藤

 3回までは良かった。4回以降は守備との絡みもあって失点したけど、気にしないようにしたい。進んでる方向は間違ってない。(4回以降は)ある意味なしとして考えて、次に進もうかなと思います。

 序盤は復活への足取りを進めていた。最速は141キロ。宮崎に一発は浴びたが、「打者の反応が詰まっていた。思ったより差し込めている」。力強い投球で、3回まで打者11人を2安打と順調に滑り出した。

 だが、続く4回に2つの失策が絡んで点を失うと、極端にリズムが崩れた。いらだちを隠せず、6回はマスクをかぶる大嶋とのコンビネーションもチグハグ。直球を真ん中に集める単調な投球で、5連打を食らった。直後に、味方がこの日3つ目の失策。降板後、報道陣の前に立った斎藤は、珍しく怒りがおさまらなかった。「(1軍戦でコンビを組んだ)中嶋さんと大嶋ではキャッチャーとしての経験が違う」、「守備とのリズムもある。(レベルが高い1軍に)投げる場所が変われば、気持ちも変わってくる」。悔しさ、いらだちのあまり、思わずチームメートに対して厳しい言葉を並べた。

 それでも、マウンド上でカッカする斎藤の姿を、うれしく思う指揮官がいた。視察した栗山監督は「それ(怒り)を(マウンドで)出しちゃダメ」とは言いながらも、「それくらい悔しさが前面に出た。戦う男の本能。ああいう斎藤は久しぶり。わがままな部分は投手の本質。前に進んでいる」。右肩の不安はすっかりぬぐい去られ、純粋に投球内容、結果に腹を立てる段階までステップアップしたことを満足していた。「ああいう“野人・斎藤”じゃないと勝負にならない」。闘志むき出しの姿勢は、むしろ歓迎材料だった。

 次回登板は、中6日で韓国・ハンファ戦(サンマリン宮崎)に先発予定。取材の最後、斎藤は少し、落ち着きを取り戻した。「僕も成長しないといけない。引き続き勉強していかないといけないです」。心は熱く、頭は冷静に。味方のミスをカバーできるような、頼れる存在を目指す。【本間翼】