西武菊池雄星投手(22)が、来季から背番号「16」に変更することが21日、分かった。今季限りで引退した石井一久氏(40)がつけた背番号で、球団側は石井のように球界を代表する投手へと成長する期待を込め、変更を打診。菊池自身も尊敬する石井の背番号を背負うことを望んでいるとみられ、プロ入りから4年間背負った「17」から、来季は「16」でマウンドに立つ。

 雄星が尊敬する石井の背番号「16」を継承する。石井の今季限りでの引退に伴って、球団側は背番号のシャッフルを検討。同じく、本格派左腕としての系譜を継ぎ、石井を目標に挙げる菊池へと引き継ぐことを決めたようだ。菊池にとって、石井は特別な存在。「16」への愛着も強いとみられ、来季は新たな番号で、自身初の2ケタ勝利を目指すことになりそうだ。

 少年時代から、石井は憧れの存在だった。当時、岩手での野球中継は巨人戦が中心だったが、強大な戦力を相手に、真っ向から勝負する石井の姿が印象的だったという。「小さい頃は、カズさんが投げる試合は絶対に見た。幼い頃も、そして今も目標とする方です」と話す。今年の1月には米国・ハワイでの自主トレに同行。石井からの助言を胸に刻み、自己最多の9勝を挙げた。

 かつては松沼雅之、潮崎哲也(現2軍監督)、涌井らが背負ったように、西武の「16」は好投手が背負ってきた番号。09年、涌井の「18」への変更を機に、石井が「16」に変わった。プロ4年間で通算17勝(8敗)をマークするも、菊池の潜在能力からみれば、物足りなさが残るのも事実。1年目の左肩痛などケガの影響も大きかったが、球団や本人が望む頂はもっと先にある。

 勝負の5年目に向け、今オフから都内のマンションで1人暮らしをスタートさせる。「すごく楽しみですよ」と笑顔で言うが、近くにトレーニング用のジムがある場所を選ぶなど、野球への環境に抜かりはなかった。シーズン途中に左肩を痛めたが、すでにブルペン入りするなど順調に回復。今オフは単身での米国ロサンゼルスでのトレーニングも計画中で、新たな番号とともに、菊池がさらなる飛躍を遂げる。【久保賢吾】