<中日2-5日本ハム>◇9日◇ナゴヤドーム

 日本ハム中田翔内野手(25)が、自慢の強肩で窮地を救った。初回、中日に同点に追いつかれ、なお無死一、三塁のピンチで、左飛を捕球後、素早く本塁へ返球し封殺した。補殺はリーグトップタイとなる4個目。9回には適時打を放ち、リーグトップを走る打点は42に伸ばした。4番が攻守で活躍し、チームは4連勝、貯金を今季最多の4とした。

 狙い澄ました。1回無死一、三塁。左翼・中田が竜の勢いを食い止めた。ルナの浅い左中間よりの飛球を捕ると素早く本塁へ。ワンバウンド送球で三塁走者をアウトにした。「まあ、(本塁まで)近かったので最低限のことをできて良かったです」。リーグトップに並ぶ今季4個目の補殺は、逆転を阻止する試合の分岐点になった。栗山監督も「本当に大きかった」と称賛するビッグプレーだった。

 1度は別れを告げた外野用グラブとともに戦う。昨年9月、球団から三塁手へのコンバートを打診され、挑戦を決意。シーズン終了後にグラブはロッカーにしまった。「オフは1度も、いじっていない」。開幕前、栗山監督に直訴して左翼復帰が決まった。一切、手入れもしていない状態だったが約半年ぶりに装着。使い慣れた守備での相棒の感覚は、鈍っていなかった。

 繊細な感覚の持ち主だ。使用するバットも握っただけで、わずかな重量の違いを察知するという。グラブも同じ。契約するナイキの担当者は「(グラブは)全然、替えないです。感覚が変わるのが嫌みたいで」と証言する。現在のグラブも「2~3年前から使っている」(中田)。レギュラーを奪った11年から培ってきた左翼守備への意識、感覚、技術。苦楽をともに刻んだグラブにブランクは関係なかった。

 9回には岩瀬から貴重な追加点となる左前適時打を放った。試合前、どこから買ってきたのか分からないが弁当を手に球場入り。「腹減った」とレンジで温め、いきなり食らいついたという。腹ごしらえも十分で臨んだ一戦。チームを今季3度目の4連勝に導き、貯金は今季最多の4となった。「すごく大きいね。良かった」。不動の4番が攻守で光り輝いた。【木下大輔】