<全日本大学野球選手権:神奈川大3-1仙台大>◇13日◇準々決勝◇神宮

 大学球界にもネイマール効果か…。神奈川大(神奈川)が、仙台大(仙台6大学)を破り、22年ぶりの4強進出を決めた。3点目の適時打を放った3年生主将、胡麻裕宜主将(総合技術)を中心にチーム改革し、「神大旋風」を巻き起こした。

 神大旋風を巻き起こすべく、試合前からムードは最高潮に達していた。神奈川大ナインが神宮へ向かうバスの車中では、ちょうどテレビでW杯の開幕戦が流れていた。到着直前にブラジルのネイマールがPKを決めたシーンに気分が高揚し、士気は上がった。

 チーム一丸の戦いを引っ張ったのは、ネイマールと同じ背番号「10」、主将の胡麻だった。7回1死二塁で3点目となる適時二塁打。それまでの2打席はフライを上げていただけに「低いライナーを意識しました」と修正し、食らいついた。先発は2年生左腕の浜口遥大投手(三養基)。「ギリギリまで悩んだ」(古川祐一監督)という3戦連続の先発だっただけに、1点でも多くの得点が欲しかった場面で飛び出した、ダメ押し打だった。

 今春、リーグ戦で9季ぶりの優勝を果たした。過去3年もBクラスに甘んじた同大だったが、快進撃の背景には「改革」がある。3年生の胡麻が主将に指名されたこともその1つ。「驚きました。でも、これが強くなるきっかけなら」と奮い立った。新チーム発足後は4年生と話し合い、課題の克服に努めた。練習では守備位置まで全力疾走。「ノック行くぞ!」の声に反応するなど、まるで高校野球のように泥臭くプレーした。毎日午後10時半からミーティングを行い、野球以外の話で盛り上がることも互いを知るきっかけになった。

 8度目のベスト4進出だが、まだ決勝の舞台に立ったことはない。「学校が持つ記録に並びましたが、日本一を目指して頑張ってきましたから。優勝を目指します」。昨秋から、誰よりも声を出し続けた主将は、少しかれた声で頂点を誓った。【和田美保】