デビュー7年目の赤井沙希(32=DDT)に注目だ。11月24日後楽園大会からスタートした七番勝負「おきばりやす」では藤本つかさに黒星も、ユニークな攻撃で存在感をアピール。貴重な女子選手とのシングルを重ね、進化を目指す。【取材・構成=高場泉穂】

七番勝負「おきばりやす」に挑戦中のDDT赤井沙希
七番勝負「おきばりやす」に挑戦中のDDT赤井沙希

珍しい赤井の技に会場がざわついた。11月24日、後楽園ホールで行われた赤井の七番勝負「おきばりやす」第1戦、藤本つかさ戦。赤井はうつぶせで藤本に絞め上げられた体勢のまま、両足を折り、藤本の後頭部を何度も小突いた。脚が長いからこそ出来る驚きの技だった。その日は敗れたが、強烈な蹴り、「わーっ」と声を出して向かっていく必死な姿は強い印象を残した。試合後、藤本の顔面には赤井の靴痕が赤く残っていた。

7月、DDTプロレス東京・大田区大会で世死琥(左)にボディーアタックを見舞う赤井沙希
7月、DDTプロレス東京・大田区大会で世死琥(左)にボディーアタックを見舞う赤井沙希

元ボクサーで俳優の赤井英和を父にもつ2世タレントとして、10代で芸能界デビュー。プロレスデビューはそのずっと後の13年8月DDT両国国技館大会。1度限りのつもりだった。「でも、反省点がたくさん出てきて…。その反省点を解消するのは他でできない。母親にあと半年だけと説得して、気付けば5年過ぎていました」。

サックス、ドラム、フラダンス、ヨガ…。興味を持ってもどれも続かない「飽き性」。でもプロレスだけは違った。「続けられるのはDDTだから。戦いがベースにありながら、夢があり、いろんな可能性や幅がある」。団体唯一の女子選手という特異なポジションで、DDTマットには欠かせない存在となった。

174センチ、53キロとモデルのように細くて美しい容姿を持つが、それ故に批判を受けることもあるという。「折れそうだから見ていてこわい、プロレスをなめんな、とか言われることもありました。でも、生半可な気持ちで5年もできないですよ。体のケアもしているので今まで大きなケガをしたこともありません。私がケガをしたら、ほらみろ、と言われる。そっちのほうが悔しい。私のような人がいたっていいじゃない」。批判されたからこそ生まれた強いプロ意識が、赤井を支えている。

身長174センチ、モデルのように細くて美しい赤井沙希
身長174センチ、モデルのように細くて美しい赤井沙希

デビュー7年目だが過去、女子選手とのシングル戦は「片手におさまるぐらい」。今回の七番勝負は、成長とアピールのための貴重な場となる。「自分自身が変わらなきゃいけないし、勝ち負けが大事。さらにそれ以外のものもつかみにいかないと」。次戦は12月28日後楽園大会で相手は奇想天外なファイトで知られる旧姓・広田さくら。「次は負けない」と気持ちを引き締め、新たな扉を開く。

◆赤井沙希(あかい・さき)1987年(昭62)1月24日、京都市生まれ。タレント活動を経て、13年8月、DDT両国大会でデビュー。14年プロレス大賞で女子初の新人賞を受賞。芸能活動と並行しながら、DDTリングで活躍する。得意技ケツァル・コアトル。父は元ボクサーで俳優の赤井英和。174センチ、53キロ。好きな食べ物は土瓶蒸し。趣味はショッピングとスパ巡り。